神奈川県がメルカリと連携、どんな狙いが?
世の中で議論を呼んでいる話題についてゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「自治体×民間でSDGs推進」。地方公務員と中央官僚が交流する場「よんなな会」を主宰する脇雅昭氏に聞いた。
神奈川県は先月26日、フリマアプリを展開する「メルカリ」と連携・協力する協定を結んだ。今後、高齢者や障害者が自分らしく生きる社会の実現や、災害時の支援の仕組み作りを構築していくという。
――神奈川県職員の脇さんも携わっているということですが、この連携、SDGsとどうつながっていくのでしょうか。フリップでお願いします。
『結果としてSDGs』と書きました。これはやはりSDGsを推進していきましょうと言っても、それで動ける人って限られてると思うんです。だから、普段の生活の中で、やっていることが実は翻ってみるとSDGsにつながっていますよ、そういった仕組みをいっぱいつくっていく必要があるかと思います。
その中で今回、メルカリと協定を結ばせていただきました。取り組みはいろいろありますが、特に、高齢者の方々向けに、県内各地でメルカリの使い方を教える教室を開いてもらおうと思っています。
ご存じの通り、メルカリはいらなくなったものを売買できるんですが、特に高齢者の方は、結構モノをもたれているんです。一方で、そのモノに愛着を持たれている方が多いので、ストーリーを伝えながら、ちゃんと顔の見える人に買って欲しいという思いがあるんです。そういう中で実際に売れるとうれしいらしいんですね。そうするとこれも売ってみようかしらと――そうなると実は家の中に眠っているモノが誰かの役に立っている、これはまさに難しい言葉で言えば、「循環型社会の実現」なんですね。
――そしてその思いを語ることで、その思いを受け止めてくれたという喜びが出てくるわけですね。
それがコミュニケーションだと思うんですね。実は神奈川県ではコミュニティーの活性化というのも大事にしているんです。高齢者の方々は地域ではつながっていますが、スマホとかにはつながっていない、使えないという課題があります。
例えば私の母は83歳なんですが、この前やっとスマホデビューしました。毎日のようにLINEが来ます。今まで電話だったんですが、ちょっとしたことでも連絡が来るようになるんですね。そうすると人生100歳時代の中で、社会の役割・社会とのつながりを持っていることは、生きがいにもつながってきます。
このメルカリ教室をやってスマホにつながる人がもっと増えることで、結果としてコミュニケーションツールも増えていく、それがSDGsが言っている循環型社会の実現にもなっていくと思います。自治体である県が、高齢者とメルカリの間に入ることで、「気づき」のきっかけをつくっていく、そういった連携を結んだということですね。これが自治体と企業の新しい連携の形かなと思っています。
【the SOCIAL opinionsより】