吉野彰さん「若い研究者の大きな励みに」
今年のノーベル化学賞は、スマートフォンやパソコンなどに使われる「リチウムイオン電池」の生みの親として知られる吉野彰さんら3人の共同受賞が決まった。
ノーベル化学賞に選ばれたのは、旭化成・名誉フェローの吉野彰氏、アメリカ・テキサス大学オースティン校のジョン・グッドイナフ教授、ニューヨーク州立大学ビンガムトン校のスタンリー・ウィッティンガム教授。
吉野さんは旭化成で充電池の研究に携わっていた際、たまたま社内で見つけた特殊な構造の炭素繊維を電池の開発に応用し、1985年に現在の「リチウムイオン電池」の原型の開発に成功した。
リチウムイオン電池は小型で大容量という特性から、持ち運びが可能になり、スマートフォンやノートパソコンといったIT機器に欠かせないものとなった。また、二酸化炭素を出さない電気自動車、太陽光などで作る電気をためる蓄電池に利用され、地球温暖化を防ぐ画期的な技術と評価されている。
吉野さん「リチウムイオン電池が受賞対象になったというのは、非常に私自身うれしく思いますし、また、いろんな分野で若い研究者の人が一生懸命、今、研究なさってます。そういった人たちに大きな励みになってくれるのかなというふうに思っております」「今、AIの技術ですとか、IoTの技術とか、5Gとかロボットとか、次の大きな変革始まっているんですよね。そういうものとドッキングしながら新しい世界をつくっていくんだと思います」
一方、妻の久美子さんも喜びを語った。
久美子さん「うそでしょ。ふふふ。やっとこの日がきたかと、正直、思いました」「やっと長年の苦労が報われたかなという気持ちが大きいですね」
吉野さんは10日午後の記者会見で、改めて受賞の喜びを語る予定。
日本の化学賞受賞は9年ぶり8人目、日本のノーベル賞受賞者は27人となる。授賞式は12月にスウェーデンのストックホルムで行われる。