天皇陛下62歳の記者会見 オンライン“コロナ後も視野に”
2月23日、62歳の誕生日を迎えられた天皇陛下。記者会見では、コロナ禍で続く厳しい現状について、「忍耐強く乗り越えていくことができるものと固く信じている」と語られました。このニュースについて日本テレビ客員解説員の井上 茂男さんに聞きました。
■オンライン訪問は「有効な手段」 感染収束後も活用を視野に…
天皇陛下は2月23日、62歳の誕生日を迎えられました。誕生日を前に、皇居・宮殿で記者会見に臨んだ陛下は、冒頭、新型コロナウイルスで亡くなった人たちへの深い哀悼の意や、多くの人たちの尽力への感謝の気持ちを伝えた上で、「長く困難な状況が続いておりますが、今しばらく、誰もがお互いを思いやりながら、痛みを分かち合い、支え合う努力を続けることにより、この厳しい現状を忍耐強く乗り越えていくことができるものと固く信じております」と語られました。
――陛下の会見にどんなことを思われましたか
「固く信じている」という部分に、コロナ禍を「乗り越える」という天皇陛下の強い思いを感じました。この2年、天皇陛下は、コロナ禍で各地の人たちと触れ合うことができない状況を、皇后雅子さまと共にオンラインで埋めてこられました。
陛下はオンライン訪問について会見で「離島や中山間地域など訪問がなかなか容易にできない地域の人々とも比較的容易に、臨場感を持って交流できることを実感させてくれた」(要旨)とし、「有効な手段」として「感染収束後も活用を視野に入れていきたい」と述べられました。
――ご進講や行事もリモートが多いですね
国際会議もありました。陛下は実際の訪問との違いや課題も感じられているようですが、これからは触れ合いの「補完」として、「オンラインの訪問」が併用されていくと思います。陛下は、国民の中に入っていくことを大切にされていますから、オンラインを上手に使って、触れ合いを広げていってほしいと思います。
【井上茂男(いのうえ・しげお)】
日本テレビ客員解説員。皇室ジャーナリスト。元読売新聞編集委員。1957年生まれ。読売新聞社で宮内庁担当として天皇皇后両陛下のご結婚を取材。警視庁キャップ、社会部デスクなどを経て、編集委員として雅子さまの病気や愛子さまの成長を取材した。著書に『皇室ダイアリー』(中央公論新社)、『番記者が見た新天皇の素顔』(中公新書ラクレ)。