安倍元首相銃撃検証「後方の警戒が不十分で警護の計画そのものにも明らかな不備」
安倍元首相の銃撃事件を受け、警護の検証などを進めてきた警察庁は25日、結果を公表し、安倍元首相の後方の警戒が不十分で、警護の計画そのものにも明らかな不備があったと結論づけました。
警察庁が公表した警護の検証・見直し結果の報告書では、事件当時、安倍元首相のそばにいた4人の警察官について、1発目の発砲音が銃によるものだとは誰も気づかなかったことなどから、1発目から2発目の発砲までの約2.7秒の間に安倍元首相を守るための防護措置をとることは困難だったと判断。事件そのものを防ぐには、1発目の発砲前に後方からの山上徹也容疑者の接近に気づき、警察官が阻止する必要があったとしました。
その上で、もともと後方を警戒する警察官が1人しかおらず、その1人も、事件の直前に配置などを変更したため、安倍元首相の前方の警戒が中心となり、後方の警戒に「空白」を生じさせたことが事件を阻止できなかった最大の要因だとしています。
また、事前の警護計画についても「安倍元首相の後方に危険があることは明らかであったが、これが見落とされていた」とし、「明らかな不備があった」と結論づけました。
今回の事件を受け、警察庁は警護のあり方について抜本的な見直しを行いました。
まず、警護の基本を定めた現在の「警護要則」を廃止し、26日から「新・警護要則」を施行。これまで都道府県警任せにしてきた警護上の危険度の情報収集などを警察庁でも行うほか、当面は原則、全ての警護について警察庁が事前に計画を確認するなど警察庁の関与を強化します。
さらに、警護のエキスパートを集め、警護計画の確認などを行う部署を警察庁に新設するほか、警視庁のSPの増員など警護を担当する人員を大幅に増やすとしています。
また、高い場所から状況を把握するためのドローンの整備など、装備の面からの警護の強化も検討しているということです。