【解説】「全国旅行支援」継続 “利用者の多くは高齢者”調査も 恩恵は“余裕ある”層だけでなく…
これから、春休みの計画を立てようという人には朗報です。3月末の旅行までが期限であった「全国旅行支援」が、4月以降も継続されることになりました。
●旅行需要ほぼ戻る
●シニアが積極利用
●この春お得な旅先は?
以上のポイントを中心に詳しく解説します。
観光庁は、観光需要喚起策の「全国旅行支援」を4月以降も継続することを明らかにしました。
都道府県の予算がまだ余っているということで、なくなり次第、順次終了となります。ただ、少なくとも6月までは全国で実施できる見込みで、地域によっては夏ごろまで割引が続く見通しです。
ただし、4月29日から5月7日のゴールデンウイーク期間中の宿泊分は対象外で、すでに予約済みの商品も対象外になるので注意が必要です。
全国旅行支援の内容について、おさらいします。
割引率は旅行代金の20%で、割引の上限額は公共交通機関を使う旅行商品の場合は1人1泊5000円、それ以外の場合は3000円となっています。土産物店などで利用できるクーポンも、平日だと2000円、休日だと1000円支給されるというものです。
こうした支援策の効果もあって、旅行需要は高まっています。
観光庁によると、昨年1年間の日本人の国内の宿泊者は、のべ約4億4000万人に上り、新型コロナウイルス感染拡大前である2019年の9割以上に戻ってきています。特に、全国旅行支援が始まった昨年10月から12月までの3か月間だけを見ると、2019年の同時期よりも多くなっています。
ただ、この恩恵を受けている人は、限られた範囲だということが見えてきました。
ニッセイ基礎研究所が昨年末、20歳から74歳の2582人を対象に実施した調査では、「利用した・利用予定がある」と答えた人は21.1%だということで、5人に1人ほどでした。全国旅行支援が10月から始まって、12月の終わりに行われた調査だったということが調査結果に影響したのかもしれません。
年代別で見ると、利用した割合が大きかったのは男性では70代、女性では60代でした。利用率が低かったのは男女ともに40代ということでした。
やはり、高齢者など比較的、時間に余裕があり平日なども旅行日程を組みやすい世代が積極的に利用しているということが見えてきます。逆に、旅行支援を「利用していない・利用する予定がない」という人は64.2%もいるわけです。