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【解説】「全国旅行支援」継続 “利用者の多くは高齢者”調査も 恩恵は“余裕ある”層だけでなく…

2023年3月10日 20:41
【解説】「全国旅行支援」継続 “利用者の多くは高齢者”調査も 恩恵は“余裕ある”層だけでなく…

これから、春休みの計画を立てようという人には朗報です。3月末の旅行までが期限であった「全国旅行支援」が、4月以降も継続されることになりました。

●旅行需要ほぼ戻る

●シニアが積極利用

●この春お得な旅先は?

以上のポイントを中心に詳しく解説します。

■「全国旅行支援」4月以降も継続へ 内容をおさらい

観光庁は、観光需要喚起策の「全国旅行支援」を4月以降も継続することを明らかにしました。

都道府県の予算がまだ余っているということで、なくなり次第、順次終了となります。ただ、少なくとも6月までは全国で実施できる見込みで、地域によっては夏ごろまで割引が続く見通しです。

ただし、4月29日から5月7日のゴールデンウイーク期間中の宿泊分は対象外で、すでに予約済みの商品も対象外になるので注意が必要です。

全国旅行支援の内容について、おさらいします。

割引率は旅行代金の20%で、割引の上限額は公共交通機関を使う旅行商品の場合は1人1泊5000円、それ以外の場合は3000円となっています。土産物店などで利用できるクーポンも、平日だと2000円、休日だと1000円支給されるというものです。

こうした支援策の効果もあって、旅行需要は高まっています。

観光庁によると、昨年1年間の日本人の国内の宿泊者は、のべ約4億4000万人に上り、新型コロナウイルス感染拡大前である2019年の9割以上に戻ってきています。特に、全国旅行支援が始まった昨年10月から12月までの3か月間だけを見ると、2019年の同時期よりも多くなっています。

■恩恵は高齢者に? 「余裕ない」人も…

ただ、この恩恵を受けている人は、限られた範囲だということが見えてきました。

ニッセイ基礎研究所が昨年末、20歳から74歳の2582人を対象に実施した調査では、「利用した・利用予定がある」と答えた人は21.1%だということで、5人に1人ほどでした。全国旅行支援が10月から始まって、12月の終わりに行われた調査だったということが調査結果に影響したのかもしれません。

年代別で見ると、利用した割合が大きかったのは男性では70代、女性では60代でした。利用率が低かったのは男女ともに40代ということでした。

やはり、高齢者など比較的、時間に余裕があり平日なども旅行日程を組みやすい世代が積極的に利用しているということが見えてきます。逆に、旅行支援を「利用していない・利用する予定がない」という人は64.2%もいるわけです。

その理由として最も多かったのが「経済的な余裕がないから」(29.6%)というものです。これは主に子育て世帯、中でも特に第1子が高校に入学した世帯で最も多くなりました。

お金と時間に余裕のある高齢者層がよく利用して、比較的忙しくて余裕のない現役世代はあまり利用できていないということが見えてきます。

一方で、航空・旅行アナリストの鳥海高太朗さんは、全国旅行支援について「必ずしも経済的に余裕がある層が“よりお得”というわけではない」と指摘しています。

というのも、2020年に始まった支援策「GoToトラベル」では旅行代金の半額が補助され、上限額も1人1泊2万円と大きかったです。高級な宿に泊まるほどメリットが大きくなり、高級な宿に泊まる余裕のある富裕層に多く利用された面がありました。一方で、今の全国旅行支援では、補助額は最大でも5000円ということなので、どのような宿でもメリットはほぼ同じだといいます。ビジネスホテルなどの利用率も上がっていて、若い人も結構使っているということです。

■各都道府県も「継続」に対応 おすすめの旅行先は近場にも…

全国旅行支援の継続を受けて、各都道府県も対応を始めています。

沖縄県と鳥取県は早速、4月以降の支援策の延長を発表しています。沖縄県の「おきなわ彩発見NEXT」は7月20日の宿泊分までの延長を決定しています。鳥取県の「ウェルカニとっとり得々割」は6月30日宿泊分まで延長を決定し、4月以降の予約は、13日から開始されます。

どちらも、予算がなくなり次第終了されるということです。特に、沖縄は花粉から逃げたい人にもいいかもしれません。

これとは別に、この春にお得なおすすめの旅行先を鳥海さんに聞くと、千葉県を挙げました。

千葉県の旅行支援「千葉とく旅キャンペーン」を使うと、通常のクーポンに加えて、千葉県独自の予算で1人1泊あたり2000円のクーポンを上乗せしてもらえるということです。ただし、1人1泊5000円以上の宿泊が対象となります。3月31日までが期限ですが、この独自のクーポンも延長するか、10日時点で協議中だといいます。

鳥海さんは「千葉は東京からも近く、海産物もお花見も堪能できる。ついでにアウトレットで買い物するのもおすすめ」と話しています。

    ◇

最近の物価高で家計の支出を控える動きもある中、旅行支援策の延長によって多くの人がお得に春の旅行を楽しみ、それが日本全体の経済活性化につながることを期待したいです。

(2023年3月10日午後4時半ごろ放送 news every. 「知りたいッ!」より)

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