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厚労省「全ゲノム解析」の実行計画を公表

2019年12月21日 4:49

がんや難病の患者の治療や予防に役立てるため、厚生労働省は、およそ9万2000人の患者の遺伝情報を網羅的に調べる「全ゲノム解析」の実行計画を公表した。

数万あるヒトの遺伝子のうち、いくつかが通常と異なる、つまり「変異する」ことは、すべてのヒトに起きている。それは、親から子に引き継いだものも、突然変異によるものもあるが、特定の遺伝子が変異した場合、または、その変異と環境や老化などが相まった場合に、がんや難病といった症状が出る。

今回公表された全ゲノム解析実行計画では、発症が多いがんのほか、5年生存率が低い難治性のがんや希少がんなど、また、難病では筋ジストロフィーやパーキンソン病などや、診断が難しい病気の患者の検体で、すべての遺伝情報を調べ、どこが変異しているかなどを解析するとしている。

まずは、最大3年間で、国内の医療機関などが保存している血液などをもとに先行解析し、その結果などを踏まえて本格的な解析を実施するとしている。

解析によって、例えば、原因がわからず、治療法のない、ある難病の患者複数に、共通の遺伝子変異が見つかれば、それが難病の原因に関連している可能性があり、治療法の開発や治療の精度向上につながる。

また、抗がん剤ごとに、この遺伝子変異のあるヒトには効果がない、高い効果が見込まれる、などとあらかじめ把握できれば、患者一人一人に最適の薬を選ぶことができ、オーダーメード、個別化医療を進めることができるという。

諸外国は、すでに国家プロジェクトとしてゲノム研究を進めていて、イギリスでは、2018年に、10万検体のゲノム解析を完了し、2023年までに100万検体のゲノム解析を目指している。