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小型SAR衛星打ち上げ 肝は地元の団結力

2020年1月29日 14:48
小型SAR衛星打ち上げ 肝は地元の団結力

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見をうかがう「opinions」。今回のテーマは「日本初の小型SAR衛星『イザナギ』打ち上げ成功」。衛星の開発・運用をする、QPS研究所代表の大西俊輔氏に話を聞いた。

QPS研究所が開発した小型SAR(合成開口レーダー)衛星「イザナギ」が、2019年12月11日、インドのサティシュ・ダワン宇宙センターから打ち上げられました。打ち上げ当日は、福岡県庁で打ち上げの様子のパブリックビューイングが行われ、約500人が参加。福岡県の小川知事も出席しました。無事に軌道投入されると、クラッカーを鳴らし、打ち上げ成功を祝いました。

今後は小型SAR衛星を36機打ち上げて、地球上をほぼリアルタイムで観測でき、防災や環境調査にも貢献できる社会インフラの構築を目指しています。

ネット上では

「パブリックビューイングで見ました!感動しました」
「地球温暖化で災害対応に期待」
「地球全体をリアルタイム観測する動きは世界中で?」

などの意見がありました。この話題について大西さんのご意見をうかがいます。


――まずはフリップをお願いします。

「団結力」と書きました。

まさに、パブリックビューイングは私たちQPS研究所だけではなく、一緒に開発をしていた地元の企業の方々にも参加していただいていました。そんなパブリックビューイングですが、私はインドの打ち上げ場にいたので実際の雰囲気は味わえなかったのですが、帰ってきてからいろんな企業の方々に聞いたところ、皆さん口を揃えて、「この衛星の開発に携わったことを実感できて、とても誇らしかった」と言っていただいて、私たちはすごくうれしい思い出になりました。

――なるほど。すごく盛り上がって、すごく団結力があるのがわかったのですが、なぜ九州の皆さんはそんなに団結力があるのでしょうか。

私たちの会社の創業者である八坂先生と十数年一緒にモノ作りをしてきた企業の方々が付き添っていただいた、集合体であるというところが一つ肝かなと思います。

――最初の頃というのは、人数も少なかったのでしょうか。

そうですね。最初の頃は弊社も人数が少なかったですし、企業も数社からスタートしましたが、今では200社ぐらいまで幅を広げています。最初の頃は本当に小さな企業体の連合だったと思います。

――それが今やこんなに大きな団体になり、団結力が生まれたということなのですね。これはまた日本の技術のアピールにもつながりそうですね。

そうですね。まさに日本初の小型SAR衛星を短期間で作ったのですが、これができたというのは地元の企業の方々の強い製造能力や発想力が積み重なってできたのではないかと思います。私たちの力だけじゃなくて、企業の方々の力を合わせたものになったと思います。

■大西俊輔氏プロフィル
QPS研究所代表。天候や昼夜関係なく観測が可能な、超小型・低コストの合成開口レーダー、SAR衛星を開発し、2019年12月に1号機を打ち上げ・運用。36機の小型SAR衛星で、世界中ほぼどこでも平均10分以内に撮影し、観測することを予定している。収集したデータを活用することで、防災や環境調査にも貢献できる社会インフラの構築を目指す。九州大学大学院在籍時より、小型衛星プロジェクトのリーダーとして活動。2013年10月九州に宇宙産業を根付かせるべく、2005年に九州大学名誉教授陣を中心に創業したQPS研究所に入社。2014年4月に代表取締役社長に就任した。

【the SOCIAL opinionsより】