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“暖冬”で育ちすぎ…野菜を農家が自ら廃棄

2020年2月3日 19:41
“暖冬”で育ちすぎ…野菜を農家が自ら廃棄

鍋料理のおいしい時期はまだ続くが、暖冬だった影響で白菜が大きく育ちすぎて丹精込めて育てた野菜を廃棄しなければならない状況になっている。

日中は暖かくても夜は冷え込む、そんな日には野菜たっぷりの鍋を囲む家庭も少なくないはず。中でも鍋に欠かせない白菜は平年より4割安とますますお得になっている。農家直送の野菜を販売する直売所ではこの週末…。

きくちのまんま菊陽店、森元子店長「店内には置けない状況なので、量が多すぎて場所がない」

店内に置ききれないほど立派すぎる白菜を販売。とれたて新鮮な白菜、1玉あたりの値段は、3キロほどもあるというこの大きさでなんと100円。

客「うちは子どもも多いのでありがたいです」

食べ盛りの子供がいる家庭には大助かり。さらには、先ほどよりは小ぶりといえど、十分な大きさの白菜2玉で100円という大盤振る舞いも。

実はこの安さにはある“意外なワケ”があった。畑にはトラクターで踏みつぶされ粉砕されていくたくさんの白菜が。丹精こめて育てた白菜を自らの手で廃棄するこの作業に、農家の表情も心なしか悲しげにうつる。実はこちらの農家では、暖冬の影響で白菜が大きく育ちすぎたため…。

白菜農家、楠野勝幸さん「(出荷にかかる)資材代にもならない。もう泣きたいですね。豊作貧乏です」

大きな白菜を詰める段ボールのコストを考えると、利益が全く見込めず。どうせ捨てるくらいならと直売所で大安売りをしているものの売り切ることができず、やむなく廃棄処分している。

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暖冬の影響は煮物などに重宝され、おでんだねの中でも圧倒的な人気を誇る「大根」にも。こちらも平年より4割安とうれしい冬となっているが…。

関東の大根の名産地、神奈川県三浦市の農家を訪ねると、暖冬や雨が続いた影響で、ひびが入った大根や割れた大根が畑のあちらこちらに。天候の影響が大きく及ぶ一方で、鍋もの需要が伸び悩み本来なら出荷できる大根までも、供給過多で出荷することができず。畑にある大根の4分の1ほどを捨てざるをえない状況だという。

大根農家、鈴木正一さん「40年大根作ってるけどないです。初めて」

そのため食べれば十分においしい大根を車へと積み込み、本来なら野菜の残りカスなどを飼料へとかえるバイオマスセンターに搬入。市内の100を超える農家から、こうした大根が連日運び込まれているという。

この状況にセンターの担当者も…。

三浦地域資源ユーズ、加藤重雄総務部長「農家さんとしてみれば洗って出荷しようとしたものも、このように持ち込まれるので非常にもったいないと思います」

例年の1月の搬入量は平均438トンだが、今年は536トンと例年を上回るペースで廃棄されているという。農家にとって大打撃の記録的暖冬。影響はますます広がりをみせている。