【解説】トルコ大地震 3万人以上が犠牲に…被害拡大の要因は――“内陸のプレート境界”での大地震に日本でも警戒を
地震が起きたのは日本時間の今月6日、震源はトルコ南部のシリアとの国境に近いエリアです。最初の地震はマグニチュード7.8という大地震で、震源の深さは18キロと比較的浅い場所で起きた地震でした。さらに、およそ9時間後にも大地震が起きています。
発生から1週間が経過しましたが、倒壊した建物から多くの犠牲者が見つかっていて、亡くなった方の数は東日本大震災を大きく上回って更に増えています。
トルコはプレートが複雑にひしめき合う場所に位置しています。南側からアラビアプレート、北側にはユーラシアプレートがあり、トルコ自体もアナトリアプレートの上にのっています。トルコの北部には「北アナトリア断層」があって、これまでも繰り返し起きています。
一方で、南側にもアラビアプレートとの境に「東アナトリア断層」があって、今回の2つの地震はこの断層で起きたものとみられています。
JAXA(=宇宙航空研究開発機構)の地球観測衛星「だいち2号」が観測したデータを国土地理院が解析したところによると、1年前と地殻の変動量を比べると断層に沿って、上下が反対方向に動いた、横ずれ断層の地震が起きたということを表しています。最大で断層を境に4メートル程度、動いたとみられています。
日本の周辺にもプレート境界がたくさんあります。太平洋プレートが沈みこんでいる東北地方の沖合では、2011年に東日本大震災が起きました。さらに日本の南から沈みこむフィリピン海プレート境界では、将来、南海トラフ巨大地震も想定されています。
そんな中、日本の陸地の下にも、トルコと同じように大地震をおこす可能性があるプレートの境目があります。それが北米プレートとユーラシアプレートの境目になります。そして、この付近には日本の中央部を南北に走る地震発生確率が高い活断層があります。この活断層は「糸魚川・静岡構造線」と呼ばれています。
この活断層は非常に活動度が高いとされていて、政府の地震調査委員会によりますと、北部区間ではマグニチュード7.7の大地震を引き起こす可能性があるとされ、警戒すべき断層の1つになります。
マグニチュード8を超える巨大地震を起こすのは、海にあるプレートだけではありません。1891年に起きた濃尾地震は内陸地震でしたが、マグニチュード8と巨大地震で、内陸で起きた地震としては近年では最大クラスです。内陸の地震は震源が浅いため、震源付近では激しい揺れによって被害も相当なものになることが想定されます。
まもなく東日本大震災から12年を迎えます。家具の固定や、建物の耐震化などできる地震対策を着実に進めてください。
今月6日から12日までの期間、国内で震度1以上の地震が32回、発生しました。その前の週は震度3以上の地震が一度もありませんでしたが、この期間は震度3が3回、起きています。
▼8日午後9時半ごろ、北海道北部、天塩町で震度3となる地震がありました。震源は留萌地方中北部で地震の規模を示すマグニチュードは3.4、震源の深さは24キロでした。
▼9日午後4時19分頃、熊本市や益城町で震度3を観測する地震がありました。この地震の震源は熊本地方でマグニチュードは3.9、震源の深さ10キロという地震でした。
▼11日午後4時38分頃、熊本市西区で震度3の揺れとなる地震が起きています。震源は同じ熊本地方です。