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【解説】トルコ大地震 3万人以上が犠牲に…被害拡大の要因は――“内陸のプレート境界”での大地震に日本でも警戒を

2023年2月13日 20:53
【解説】トルコ大地震 3万人以上が犠牲に…被害拡大の要因は――“内陸のプレート境界”での大地震に日本でも警戒を
トルコ大地震は発生から1週間が経過し、東日本大震災を上回る3万人以上が犠牲になっています。トルコで被害を拡大させた要因の1つとして、内陸直下のプレート境界で地震が起きたことが挙げられます。日本もトルコと同じく複数のプレートに囲まれていて、日本の中央部にも大地震を起こす可能性があるプレート境界が存在します。社会部災害担当・中濱弘道デスクが解説します。【週刊地震ニュース

■日本と同じ地震国・トルコ マグニチュード7を超える大地震が2度も

地震が起きたのは日本時間の今月6日、震源はトルコ南部のシリアとの国境に近いエリアです。最初の地震はマグニチュード7.8という大地震で、震源の深さは18キロと比較的浅い場所で起きた地震でした。さらに、およそ9時間後にも大地震が起きています。

発生から1週間が経過しましたが、倒壊した建物から多くの犠牲者が見つかっていて、亡くなった方の数は東日本大震災を大きく上回って更に増えています。

トルコはプレートが複雑にひしめき合う場所に位置しています。南側からアラビアプレート、北側にはユーラシアプレートがあり、トルコ自体もアナトリアプレートの上にのっています。トルコの北部には「北アナトリア断層」があって、これまでも繰り返し起きています。

一方で、南側にもアラビアプレートとの境に「東アナトリア断層」があって、今回の2つの地震はこの断層で起きたものとみられています。

■宇宙からの観測でも…断層に沿い“地面が大きく動く様子”が

JAXA(=宇宙航空研究開発機構)の地球観測衛星「だいち2号」が観測したデータを国土地理院が解析したところによると、1年前と地殻の変動量を比べると断層に沿って、上下が反対方向に動いた、横ずれ断層の地震が起きたということを表しています。最大で断層を境に4メートル程度、動いたとみられています。

■日本周辺で巨大地震起こす複数のプレート 本州中央部にもプレート境界が――

日本の周辺にもプレート境界がたくさんあります。太平洋プレートが沈みこんでいる東北地方の沖合では、2011年に東日本大震災が起きました。さらに日本の南から沈みこむフィリピン海プレート境界では、将来、南海トラフ巨大地震も想定されています。

そんな中、日本の陸地の下にも、トルコと同じように大地震をおこす可能性があるプレートの境目があります。それが北米プレートとユーラシアプレートの境目になります。そして、この付近には日本の中央部を南北に走る地震発生確率が高い活断層があります。この活断層は「糸魚川・静岡構造線」と呼ばれています。

この活断層は非常に活動度が高いとされていて、政府の地震調査委員会によりますと、北部区間ではマグニチュード7.7の大地震を引き起こす可能性があるとされ、警戒すべき断層の1つになります。

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■過去には“マグニチュード8” 巨大地震が中部地方でも――
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