来年4月発足、こども家庭庁の来年度予算案は
子ども、若者、子育て支援策を一元化して担当するこども家庭庁が来年4月に発足しますが、政府はその来年度予算案4兆8000億円あまりを決定しました。
厚労省が所管している保育園、児童虐待対策、妊産婦支援、内閣府が所管している児童手当の支給、少子化対策のほか、各省庁が担っていたこども支援や少子化対策などが来年4月、こども家庭庁に移されます。
23日に政府が決定したこども家庭庁の来年度予算案の総額は、4兆8104億円です。これらの政策の今年度の予算は4兆6871億円で、およそ1233億円、2.6%の増額です。今年度より予算が増えた要素は、孤立や産後うつなどを防ぐため、妊娠中と出産後に、保健師などが個別相談に応じたり、家庭を訪問して赤ちゃんの世話について教える「伴走型相談支援」と10万円の支給をセットにした新たな制度です。
今年度の補正予算で、すでに2023年9月分までの予算は確保されていましたが、来年10月から再来年3月までに見込まれる分が来年度予算案に盛り込まれました。
増額要素としては、さらに保育士の給与アップのほか、定員121人以上の大規模保育園の4~5歳児クラスなどのため、保育士を追加で1人雇う園には、人件費として年間およそ500万円が支給される「チーム保育推進加算」によって、保育士1人にこども30人という職員配置から、こども25人以下が実現可能になるとしています。
さらに、新しい政策は
●低所得妊婦の産科の初回受診料の補助
●性犯罪歴がある人がこども関連の仕事に就くことを制限する仕組み(日本版DBS)の導入にむけた検討
●いじめの長期化、重大化を防ぐため、県知事や市長などの部局が、いじめの相談から解決までとり組む手法の開発と検証
拡充したものは
●親子の孤立を防ぐため、未就園児を、空きの生じた保育園で定期的に預かるモデル事業
●自治体が新婚世帯の家賃や引っ越し費用などを補助する場合、その半分を国が負担する制度で、対象世帯の所得を400万円未満から、500万円未満に広げるなど
政府は、こども関連予算を倍増させると打ち出しましたが、いつ、どのように増やすかの結論を先送りにし、来年6月頃にまとめる「骨太の方針」で「道筋を示す」と述べるにとどまっています。
こども政策を一元化する省庁が初めてできるタイミングにもかかわらず、来年度予算案は、今年度予算に比べ2.6%増で、大幅増とはなりませんでした。
子ども家庭庁は「予算の金額そのものよりも、積み上がった中身が大事だと思っている。いじめ対策など、財務省との厳しい交渉の末に勝ち取れた施策もある。規模が小さくなったものもあるが、やりたかったものは盛り込めたと思っている」と説明しています。