子ども関連予算倍増 “早く議論を” 子育て支援団体などが政府に要請
子育て支援団体などが、政府に、子ども関連予算倍増の議論を早く進めてほしいと訴えました。
小倉少子化担当大臣に要請を行ったのは、子どもの貧困にとりくむ公益財団法人「あすのば」や子育て支援など、あわせて4団体の代表らで、生まれる子ども数が減るなど「静かなる有事」を乗り越えるため、困難の中にいる親子や妊産婦への支援の拡充こそが最優先の課題だと訴えました。
政府は、「子ども関連予算の倍増」を打ち出したものの、議論を先送りし、来年6月頃にまとめるいわゆる「骨太の方針」で「道筋を示す」としています。
防衛費に比べ、子ども関連の議論が遅れる中、きょうの要請では強い危機感が示され、「子ども関連予算を年明けから議論し、『骨太の方針』には財源の規模と予算倍増の時期を書き込むよう」求めました。
また、保育園での虐待の報告が相次ぐ中、人員配置の改善なども訴えました。
子ども・子育て関連の予算をみてみると、文部科学省予算を除いて、来年4月に発足する子ども家庭庁の予算は概算要求段階で、約4兆7500億円で、大幅な増額がなかなか進みません。
一方、政府は、防衛費については増額の議論を進め、来年度からの5年間で43兆円にすることを決定。
単純計算すると毎年度8兆円を超えます。
そして、この実現には、毎年度4兆円が追加で必要だとして、2024年度以降の適切な時期に増税することになりました。
21日に小倉大臣への要請を行った団体によりますと、小倉大臣は「子ども関連予算の議論は先送りにしたわけではない」と述べ、「子ども・子育て支援の具体策が多岐にわたり、必要な額がかなり大きいことから、単に倍増というだけが先走り過ぎることのないように、個別の政策を積み上げて、実現していく確かな議論が必要だ」と述べたということです。
日本大学教授で公益財団法人「あすのば」理事の末富芳教授は、「『ご飯をおなかいっぱい食べられる権利が欲しい』というのが最近出会った小学生の言葉で、そのような子がいなくなるよう、どの子も幸せになるように、こども関連予算の財源をしっかりお願いしたいと大臣にお伝えした」と述べました。
また、「子どもと家族のための緊急提言プロジェクト」の榊原智子さんは、「大学で教えていると、若い世代が、家族を作ることに希望をもてていないと感じる。若者には、あなたが家族を持とうとした場合に『出産や子育てを社会を挙げて応援する』という本気が伝わるよう、財源確保とともに、政策を変えて下さいと要請した」と述べました。