南海トラフ沿いの地震“特段の変化なし”も引き続き大規模地震に注意 鳥島近海の地震とは関連なし
気象庁は南海トラフでの巨大地震発生の可能性を評価する定例の検討会を開き、先月は、巨大地震に影響を与えるような目立った地震活動はなく、「特段の変化は観測されなかった」とする見解をまとめました。
気象庁は今後30年以内の発生確率が70%から80%とされる南海トラフ巨大地震について、専門家による定例の評価検討会を開き、想定震源域でおきた地震や観測データの分析をおこないました。
気象庁によりますと、先月1日から今月4日までの期間に南海トラフ巨大地震の想定震源域とその周辺では、マグニチュード3.5以上の地震が2回発生したということです。
先月5日には、宮崎県の日向灘でマグニチュード3.5とマグニチュード3.6の地震が相次いで発生しました。これらの地震は、南海トラフ巨大地震で想定されるフィリピン海プレートと陸のプレートの境界でおきたものでしたが、地震の規模が小さいことなどから、検討会は「特に目立った地震活動ではない」と評価しました。
一方、静岡県御前崎などで長期的に観測されている地盤の沈降はフィリピン海プレートの沈み込みに伴うもので、その傾向に大きな変化はないとしています。
検討会は、こうした観測結果を総合的に判断し、南海トラフ周辺で「特段の変化は観測されなかった」とする見解をまとめました。
評価検討会の会長で東京大学の平田直名誉教授は、特段の変化はないものの、地震発生の可能性が高い場所であることに変わりはないため、今後も、強い揺れを伴う地震や津波に備えてほしいと話しています。
一方、今月5日に伊豆諸島の鳥島近海を震源とするマグニチュード6.5の地震があり、津波注意報が発表されました。この地震は南海トラフを引きおこすフィリピン海プレートの内部でおきたものでしたが、震源が南海トラフとは大きく離れていることから、想定される南海トラフ地震と「直接の関係はない」としています。