南海トラフ沿いの地震、5月は目立った地震活動なく「特段の変化なし」 引き続き巨大地震に備えを
気象庁は南海トラフで巨大地震発生の可能性を評価する定例の検討会を開き、先月は巨大地震に影響を与えるような目立った地震活動はなく「特段の変化は観測されなかった」とする見解をまとめました。
気象庁は今後30年以内の発生確率が70%から80%とされる南海トラフ巨大地震について、専門家による定例の評価検討会を開き、想定震源域で起きた地震や観測データの分析を行いました。
気象庁によりますと、先月1日から今月5日までの期間に南海トラフ巨大地震の想定震源域とその周辺では、マグニチュード3.5以上の地震が4回発生したということです。
先月12日には愛媛県南予を震源とするマグニチュード4.2の地震、先月19日には豊後水道を震源とするマグニチュード4.5の地震がありました。この地震では愛媛県の伊方町で震度4を観測しています。
さらに、先月23日には紀伊水道を震源とするマグニチュード4.0の地震、今月4日には和歌山県南方沖を震源とするマグニチュード3.7の地震がありました。
このうち、愛媛県南予と豊後水道、紀伊水道を震源とする地震は、フィリピン海プレートの「内部」で起きた地震で、南海トラフ巨大地震で想定されるプレート境界の地震とはメカニズムが異なるということです。
これらの地震について、検討会は地震の規模が小さいことなどから「特に目立った地震活動ではない」と評価しました。
一方、静岡県御前崎などで長期的に観測されている地盤の沈降は、フィリピン海プレートの沈み込みに伴うもので、その傾向に大きな変化はないとしています。
検討会は、こうした観測結果を総合的に判断し、南海トラフ周辺で「特段の変化は観測されなかった」とする見解をまとめました。
評価検討会の会長で東京大学の平田直名誉教授は、南海トラフ沿いでは依然として、極めて高い確率で地震が起きる状況に変化はないとして「引き続き、いつ地震が起きてもいいように、備えてほしい」と話しました。