【自治会】子どもが主役! 中学生が役員務める町の取り組み 『every.特集』
神奈川県で開かれた、地域の自治会長が集まった研修会にシニア世代の会長たちが集まっていた。会長たちは役員の担い手不足や高齢化などに頭を悩ませていた。ある人は「高齢化で代わりたくても代われない状況がある」、またある人は「もう早く辞めたいという人ばかりだから」と嘆いていた。
そんな中、講師に呼ばれたのが横浜市にあるマンションの自治会長、田形勇輔(たがた・ゆうすけ)さん(43)だった。
実は田形さんの自治会では中学生をはじめ、若い世代が役員を務めている。会場には役員となった若者たちの写真が映し出された。
田形さんは「この子どもたちは、将来ここを巣立ったとしても、新しい家族を連れて帰ってきたい(と思う)町にしよう」狙いを語る。子どもたちは自治会でどんな活躍をしているのだろうか。
横浜市にあるマンションを訪ねてみた。そこは全13棟で1230世帯、およそ3300人が暮らしていた。
自治会の役員の一人が中学3年生の鈴木梨里子(すずき・りりこ)さんだ。去年、自治会の役員になり、今年が2年目である。
小学5年生の時に自治会が行う縁日まつりに弟と参加したのがきっかけだった。その時に「住民の方々のために自分ができることがあるんだな」と思ったという。今では非常時の対応などマンションの様々な事情にも精通している。災害時に使う井戸や、災害時に携帯の充電等に使える風力発電とソーラーパネルの設備なども頭に入っている。
去年、自治会で行った音楽イベントでは、子どもたちにダンスの振り付けを教えたり司会を務めたりした。そうやってこの一年、学校と部活の合間を縫って自治会活動を続けてきた。
そして今年5月、自治会に大きな変化があった。鈴木さんに続いて、今年度新たに4人の若者が自ら手を上げて役員に加わることになったのだ。そのうちの2人が中学生。これで自治会の中学生役員は3人になった。鈴木さんが先駆けとなって自治会の若返りが進んだのである。
「若い人がいて良かったと住民の方に思っていただけるようにがんばっていきたい」と鈴木さんは語る。
新しく役員になった中学生の角田(かくだ)さんは、朝早くから朝食と弁当作りに追われていた。母と3人の弟の5人家族なのだが、働いているお母さんを手伝い、朝食と弁当作りをしている。母親は自治会で活動することについて「地域の人が顔を知っていたら、何かあったときに助けてくれる。角田さんの何番目の子どもだと分かって声をかけてくれる」と歓迎していた。
一方、自治会長の田形さんは庭で大量の金魚の世話をしていた。実はこれ、自治会イベントの「金魚すくい」で使う金魚だった。会社勤めの傍ら、自治会のイベント向けに自ら金魚を育てているのだ。
そして7月になり、今年度初めての大きなイベント、「金魚すくい」の日がやってきた。中学生の3人も会場の設営に大忙しだ。子どもたちは大人たちの指示を受けてテキパキと動いていた。
午前10時。ついに今年度初のイベント「金魚すくい」が始まった。果たしてどのくらいの住民が来てくれるのだろうか。
子どもたちは一致団結して夏のイベントに奮闘する。
※詳しくは動画をご覧ください。(2023年8月3日放送「news every.」より)