「シャンパン回しのみ」 夜の街で何が?
6月5日、東京では20人の感染が確認されました。6月4日には「夜の街」で多くの感染者が確認されています。いったい何が起きているのでしょうか。
■「夜の街」で一体なにが?
5日、小池都知事は、東京都の新たな感染者について一定の傾向が出ていると話しました。
小池都知事「陽性者の状況については、若い世代が増加傾向であることを毎日のようにお伝えしているが、中でもいわゆる夜の街関連が、一定数確認されているということが、明確な傾向といえるかと思います」
このように、「若者と夜の街」という特徴があると述べています。
4日の東京の感染者は、10?80代までの男女28人。年代別で見ると、10代が1人、20代が13人、30代が9人と、若者が23人を占めています。
中でも夜の街と関係がある人は9人に上っています。そのうち5人は20?30代のホストクラブの関係者、ほかの4人は同じパーティーイベントに参加していて、10代が1人、20代男性が1人、20代女性が2人です。
このパーティーイベントには10数人の若い男女が参加していましたが、これまでに4人の感染がすでに確認されていて、今回の4人と合わせて感染者は8人となりました。
つまり「パーティークラスター」が発生したのです。
このパーティーが開かれたのは、緊急事態宣言が解除される前。実は東京では、5月20日頃にもパーティークラスターが発生していて、両方とも緊急事態宣言の解除前でした。
東京都では4日までの1週間で、感染者は128人。そのうち43人、全体の3割以上が夜の街に関連した感染者だということです。
「夜の街に関連」とは、具体的には接待を伴うホストクラブやキャバクラなどの関係者のことで、こうした業種は、東京都ではまだ休業要請が続いています。
■感染したホストクラブ勤務の男性が内状を告白
実際に新宿・歌舞伎町のホストクラブで働いていて、感染が確認された男性に話を聞きました。
男性「お客さまとキャストにはアルコール消毒と検温はしているんですが、それ以外は特に。マスクは自由ですね、お酒飲むので。高級シャンパンを入れていただいた時に、醍醐味としてパフォーマンスなどをして、まわし飲みなどをしていたので」
この男性によると、緊急事態宣言後、歌舞伎町では一時は多くの店が休業したものの、徐々に再開していき、現在では多くのホストクラブが営業しているといいます。ただ、表向きは大々的に営業再開などの告知はしていなかったということです。
歌舞伎町のホストクラブの中には、もし感染が発覚してもホストクラブで勤務していたことは言わずに「フリーター」だと言うよう指示されるところもあるそうです。
この男性は「いつ感染してもおかしくないという危機感はあったが、徐々に感覚がまひしていった。コロナという存在自体もそこまで意識していなかった。甘く見ていた」といいます。
店側が実態を隠して営業を続けているうちは夜の街から感染者が減らないのではないか、という危機感から、あえて取材に応じたとのことです。
■感染予防、徹底する店も
一方で、現場では対策を徹底しようという動きも出ています。
ナイトクラブなどが連携する日本水商売協会は、店を再開する際の独自のガイドラインをすでに4月に作成しています。
例えば「入店時の検温」 「カラオケマイクの消毒・マドラーを30分に1回交換」 「客の体調確認シートへのサイン 」など、具体的な感染防止対策を店側と共有しています。
特に「体調確認シート」では、万が一店で感染者が確認された場合は、経路を追えるよう個人情報を提供することに同意してもらう、としています。
店側も客側もお互いにやりづらい面は増えるのですが、それでも店としては、こうしたやりづらいことも客に納得してもらった上で、しっかり情報開示をすることが、逆に客や従業員を守り、業界全体を守ることにつながるとしています。
日本水商売協会の甲賀香織代表は「対策もせず営業している店があるのは事実だが、多くの店は休業要請を受け入れて赤字をかぶりながら耐えている。“夜の街”という言葉でひとくくりにされるのは理不尽」と話しています。
■政府も「ガイドライン」取りまとめ
一方で、政府は新たにキャバレーやホストクラブなど接待を伴う飲食業などに向けた感染防止策のガイドラインをとりまとめ、来週にも公開する方針です。
政府が業界別のガイドラインをとりまとめるのは初めてのことです。
ガイドラインは業界団体が作成し、政府と調整する方針で、具体的には「換気」「人と人との距離を取る」「客と客の間にアクリル板を設置する」「マスクやフェイスシールドの着用」などの対策が盛り込まれる見通しです。
また、感染者が増えている夜の街対策について、東京都は警視庁と共に5日から歌舞伎町で注意喚起を行う見回りを始めることにしており、来週からはエリアを増やして六本木でも行うとしています。
「夜の街」といった言葉は一人歩きしがちですが、そうした業界の人々の中には、休業要請を受け入れ、何とかこの難局を乗り切ろうと地道に頑張っている人もいます。そうした人々が割を食ったり、悔しい思いをしないためにも、国や東京都はしっかりと現場の声をくみ上げてほしいと思います。
2020年6月5日放送 news every.『ナゼナニっ?』より