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“統一教会”への解散命令、あすにも判断か “母親が1億円超献金”被害訴える女性は

2025年3月24日 11:13
“統一教会”への解散命令、あすにも判断か “母親が1億円超献金”被害訴える女性は

「世界平和統一家庭連合」、いわゆる“統一教会”について、東京地裁が解散命令を出すかどうかの判断を25日にも示すとみられています。母親が1億円を超える献金をしていたという娘に話を聞きました。

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霊感商法や高額献金などの問題が指摘されている「世界平和統一家庭連合」、いわゆる“統一教会”。その被害を訴える中野容子さん。教団の信者だった母親が1億円を超える献金をしていました。

母親が1億円超の高額献金、中野容子さん(仮名)
「母の被害を知っている。そういうことがいろんな場所で繰り返されてきたと知っている身として(解散命令が)早く出てほしい」

中野さんは、母親が違法な勧誘を受け献金させられたとして、教団側に損害賠償を求めて裁判を起こしています。

中野容子さん(仮名)
「私は交渉と裁判の中で教団の姿勢というか態度、離教して損害を訴えている人に対する態度を思い知らされた。不誠実で全く反省の色もない態度を思い知らされていたので、解散して宗教法人格は失うしかない」

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この問題を取材してきた日本テレビ社会部司法担当の宇野佑一記者が解説します。

まず、これまでの経緯を振り返ります。2022年7月に起きた安倍元総理大臣の銃撃事件をきっかけに、統一教会の高額献金や霊感商法の問題などが改めて浮き彫りとなりました。

国側は2023年10月、教団に解散命令を請求し、去年2月から東京地裁で国側と教団側の意見を聞く非公開の審問が4回行われ、25日にも、東京地裁が解散命令を出すかどうかの判断を示すとみられています。

ポイントは「民法上の不法行為」が解散命令の要件に含まれるかどうかです。

国側は、信者による「民法上の不法行為」を認定した判決などを根拠に、教団側が財産を得る目的で多数の人を不安に陥れ、高額献金や物品の購入をさせたと主張しています。

こうした行為が、「法令に違反して著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる」という解散命令の要件に該当すると主張しています。

一方、教団側は、解散命令を請求できる根拠となるのは刑法などに違反する行為であり、「民法上の不法行為」は解散命令の要件には含まれない、と主張しています。

ただ、今月に最高裁は教団をめぐる別の裁判の中で、「民法上の不法行為も解散命令の要件となる」とする初めての判断をすでに示しています。

この最高裁の判断は1つのポイントで、解散命令の審理に影響を与えることになると思います。最高裁の判例は一般的に地裁などの判断を拘束するものなので、東京地裁もこの判断にならうとみられています。

その上で、信者による不法行為が「著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」などにあたるといえるのか、そしてそれが、教団の組織的な行為だといえるのかが争点になるものとみられます。

25日、仮に東京地裁が解散を命じた場合、教団側は不服があれば東京高裁に即時抗告することができ、東京高裁で審理が続き、最高裁まで争うこともできます。

解散命令について裁判所の判断が確定すると、教団の財産を清算する手続きが始まります。清算された財産は高額献金による被害者の救済などにあてられることになります。

解散命令により教団は宗教法人格を失い、税制上の優遇措置を受けられなくなります。ただし、あくまで法人格が失われるということで、宗教団体としての布教や信仰といった活動自体は続けることができます。

解散命令請求が却下された場合、教団は宗教法人として存続します。

最終更新日:2025年3月24日 11:13
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