九州豪雨 被災住民「どこから手を…」
「どこから手をつけていいか…」「被害額は1億2億の世界」――。集中豪雨による河川の氾濫や土砂崩れが相次ぐ九州。多くの建物が浸水の被害に遭いました。被災地の様子は――。
■鹿児島 土砂崩れ崖下から救助の瞬間
7月7日夜遅くからの大雨で、鹿児島県錦江町では、8日朝に土砂崩れが発生。道路脇の崖下、およそ10メートルのところには車が見えていました。
そこに、救助のヘリが到着。救助隊が降りた場所には全身、泥をかぶった男性の姿が。
隊員「大丈夫ですか?今から引き上げますからね。頑張ってください」
隊員に支えられ、自らの足で歩き…無事救出。男性はその後病院に運ばれましたが軽傷だったということです。
鹿児島県鹿屋市では排水が追いつかず、側溝から水が高く吹き出しました。
巡回をしていた市の消防団員は…
「60センチくらい冠水してですね、そこにタクシーが誤って入ってしまって動けなくなったと要請を受けました」
今後の雨に向けての対策については…
「(先ほど)住民の方から『前もって土のうがほしい』と連絡をうけたところです。なるべく雨が強くならないうちに避難して下さいと。見回って、けが人や事故がないようにしたいです」
■大分 家族4人が流される
大分県由布市の花合野川では8日午前0時頃、4人が乗った車が流されました。乗っていたのは市内に住む夫婦と子ども、妻の母の4人です。
そのうちの1人が木に登り、電話で助けを求めたということですが、現在も4人の行方はわかっていません。
深夜に氾濫した、大分・由布市の大分川近くの住宅。住民の女性に話を聞くと…
「ここまで家の中も20センチくらい上がったみたいで、家のが全部浮いていたみたい」
4、5分であっという間に水かさが増したといいます。
■福岡 雨量が観測史上1位を記録した地域も
筑後川が流れる、福岡県久留米市。8日の午前9時半ごろ、ヘリで上空から見ると、かなり広い部分まで水が広がっていました。
雨がやんだ後も、一面、水におおわれた街。冠水している道路を歩く人は、腰のあたりまで水につかっています。
久留米市の建物の被害は床下浸水だけでも、700件以上出ているということです。
福岡県大牟田市では3日間の雨量が688.5ミリと観測史上1位を記録。高齢の男女2人が死亡しました。
床上まで浸水したという住宅。8日朝、水が引き、3日ぶりに自宅に入れたという住民は「どこから手をつけていいか分からない」と話します。
■熊本県 水が引いた酒蔵「被害額は1億、2億の世界」
一方、氾濫した球磨川の水が流れ込んだ熊本県球磨村の診療所には、大量の流木が押し寄せていました。
中を案内してもらうと…
医師「めちゃくちゃ。いろんなものが散乱して入り込んでしまって」
泥でおおわれた医療器具。幸い薬の3分の2ほどは無事だったといいます。
この状況でも避難所で必要とする人々に、薬を届けたといいます。
医師「医療機器はもうだめかなと思って。だけど薬を出せたのが最大の幸運だった」
隣の熊本県・人吉市でも、住民たちが、片付け作業に追われていました。被害は、歴史ある酒蔵にも――。
大和一酒造元の酒蔵内は梁のあたりまで水が浸水していたとういいます。焼酎を入れてあったタンクはほとんどが倒れてしまいました。
大量の酒がとうてい売り物にはならない状態に。大和一酒造元の下田代表は…
「痛いですよそれは、(被害額は)1億2億の世界になると思いますけど…全然だめです」
被害に直面し、今思うのは…
代表の妻「(過去の災害を)教訓にしなかったなと思ってすごく後悔しました」
九州は今後1週間程度、断続的に激しい雨となる恐れがあり、引き続き、土砂災害や河川の氾濫などに警戒が必要です。
(7月8日放送「news zero」より)