今年は増える?“帰省難民”にふるさとの味
今年の夏は、ふるさとに帰省したくてもできない「帰省難民」という現象が増えそうです。そうした人のために、帰省しなくてもふるさとの味や気分を味わえる様々なサービスが始まっています。
◆コロナ禍の夏、帰省をあきらめる人多く
コロナ禍で迎える異例の夏、帰省するかどうか街の人に聞いてみると……
岐阜出身「とりあえず、ないです。(感染する)危険性があるのでやめておこうと。友達と遊びたかったです」
広島出身「まだ全然収束してないし、おじさんとかは広島に実家の近くに住んでいるんですけど、うちだけ東京なので、集まるのは危ない」
帰省をあきらめるという声が多く聞かれました。
◆ふるさとの一品を無料に!
こうした中、都内にいながら帰省した気分を味わってもらおうとする動きが。東京・品川区の飲食店『Setouchi Kitchen 五反田店』では……
寶田堂・関喬史代表取締役「瀬戸内の食材を中心としたお店ですので、瀬戸内出身者の方に対象県の商品を一品サービス(する)と」
なんと、兵庫や岡山など瀬戸内8県の出身者を対象に、1品無料で提供するというサービスです。
たとえば兵庫県の出身者には地元・淡路島産の玉ねぎをオーブンでローストしたメニューが、岡山県の出身者には生ガキが提供されるなど、それぞれ地元でとれたものを使ったメニューが無料になるといいます。
寶田堂・関喬史代表取締「地元の食事を楽しんでいただきながら、ふるさとを思い出しながら東京で楽しんでいただきたいなという思いで」
この「食べる瀬戸内 STAY東京キャンペーン」は、今月いっぱいまで行う予定だということです。
◆自治体も“帰省できない人”への取り組み
こうした帰省できない人たちへの取り組みは、自治体でも。福島市が始めたのは、ふるさと納税の返礼品として行う墓参りの代行サービスです。始めた理由について、市の担当者は……
福島市役所・政策調整部 近藤秀俊主任主査「なかなかお墓参りに行けない、帰ってこられないという方は今までもいらっしゃったかと思うのですが、今回コロナによりそういったニーズというのが増えているんじゃないかなと」
ふるさと納税で4万4000円以上寄付した人を対象にしたこのサービス。
福島市役所・政策調整部 近藤秀俊主任主査「ご本人に代わってお墓の石碑をきれいにしたり、草をむしりとったりとお掃除をしまして、お花と線香をあげてお祈りすると」
作業が終わると、依頼者の元には写真付きの報告書が届くということです。
大分・竹田市でも……
竹田市役所・企画情報課 工藤貴大さん「寄付を頂いた返礼として、お庭の掃除とお墓の掃除がメニューになっています」
「里帰り作業代行」と題したお墓や庭の清掃や除草などの代行サービスを6月から開始。
竹田市役所・企画情報課 工藤貴大さん「田舎のお墓というのが山の奥にあったり、とても敷地が広かったりと」
寄付をしたいと連絡を受けた段階で、どれくらい清掃に時間がかかるかなどを調査し、コース別に案内しているということです(※対象は竹田市内のみ)。
◆“オンライン帰省”に…同じ返礼品で共通の時間を
一方、ふるさと納税サイト「さとふる」ではオンライン帰省が増えると予想。そのため……
さとふる・地域協働事業推進部 坂平由貴さん「離れた場所でも同じお礼品を食べていただくことで、共通の時間を楽しんでいただきたいと」
では、どんなメニューが注目されているのでしょうか。
さとふる・地域協働事業推進部 坂平由貴さん「北海道網走市の水産加工をやっている事業者が出しているお礼品なんですけど、『網走グルメフェスタ2020夏』というお礼品があって」
地元・網走でとれた旬の刺し身やホタテとウニをぜいたくに使ったカルパッチョ、和牛を使ったハンバーグが入ったセットメニュー(寄付金額3万7000円)です。
さとふる・地域協働事業推進部 坂平由貴さん「1個のお礼品でたくさんの味を楽しむことができるので、会話のきっかけになると思います」
今後もふるさとの味を楽しめる商品を増やしていきたいということです。