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「スーパーエルニーニョ」発生か 全国的に「暖冬」の見通し 暮らしに影響は? 47年ぶりの現象も…今年の猛暑に影響?【#みんなのギモン】

2023年10月24日 21:02
「スーパーエルニーニョ」発生か 全国的に「暖冬」の見通し 暮らしに影響は? 47年ぶりの現象も…今年の猛暑に影響?【#みんなのギモン】

朝晩は涼しくなったものの、10月もあと1週間だというのに日中はぽかぽかだったり、まだ暑く感じたりする日もあります。

きょうのギモンは「スーパーエルニーニョ 影響は?」です。

暖冬をもたらす「エルニーニョ現象」ですが、今年は“スーパーエルニーニョ”となる見通しです。24日午後、気象庁は11月から3か月間の天候の見通しを発表しました。全国的に「暖冬」で、降雪量も北日本の日本海側では平年並みか少ない予想です。この暖冬はエルニーニョ現象によるものです。

●「暖冬」でどんな影響が?
●47年ぶりの現象も発生

以上のポイントを中心に詳しく解説します。

■「エルニーニョ監視海域」の海面水温で気象予測

そもそも、エルニーニョかどうかというのを監視する海域が南米のペルー沖にあり、その海域の海面水温が「基準値より0.5℃以上高くなる」ことを「エルニーニョ現象」といいます。これとは逆に、海面水温が基準値より低い時は「ラニーニャ現象」といいます。

今年は3月には基準値より0.5℃高くなり、春からエルニーニョ現象が続いていて9月の時点では2.2℃も高くなっています。この冬も、基準より2℃以上高くなる予想となっていて強いエルニーニョ現象、いわゆる“スーパーエルニーニョ”となる見通しです。

■過去3回しかない「スーパーエルニーニョ」 2015年は暖冬に…

このようなスーパーエルニーニョは、過去に3回しかありません。今回がおよそ7年ぶり、4回目のスーパーエルニーニョとなりそうです。どんな影響が予想されるのでしょうか。

3回目の「2014年の春から2016年の春にかけて」はどんな様子だったのでしょうか。2015年12月に東京・新橋で撮影した映像に、驚きの“暑さ”が記録されていました。

記者(東京・新橋2015年12月11日)
「昼過ぎの新橋駅です。駅前の温度計見ますと、午後1時過ぎの気温が23℃。12月としては信じられないほどの暑さです」

上着を手に持って歩いている人が映っていましたが、2015年のなんと12月の映像でした。東京都心ではこの日、最高気温が24.1℃まで上がりました。あまりの暑さに、真冬にもかかわらず、かき氷店が繁盛していました。さらにこの日、三重県尾鷲市では最高気温25.6℃となり、夏日を記録しました。

またこの年、アメリカではクリスマスイブに最高気温22度を観測。82年ぶりの記録更新となり、ニューヨークのアイススケート場では水たまりができていました。

■エルニーニョで暖冬になると…雪不足や紅葉、桜の開花にも影響が

2015年は暖冬で深刻な雪不足となり、福島県猪苗代町などでスキー場がオープンを延期する事態も起きました。また、雪不足ということは春の雪解け水も少なく、水不足にもつながります。さらに、これから楽しみな紅葉も気温が高いと色づきが遅れたり、春に桜の開花が遅れたりする可能性もあります。

ただ、スーパーエルニーニョがもたらすのは暖冬だけではありません。

■エルニーニョで暖冬…でも大雪になる理由とは?

2016年の1月18日に東京で大雪が降りました。覚えている方も多いのではないでしょうか。未明から降り続いた雪で、一面銀世界に染まった東京都心では6センチの積雪を記録。通勤時間帯を直撃し、交通機関は大混乱となったほか、慣れない雪に転倒する人や事故も相次ぎ、ケガ人も多数出ました。

また、その1か月ほど前の2015年12月には、兵庫県神戸市で最大瞬間風速21.8メートルの風が吹き「神戸ルミナリエ」のイルミネーションが倒壊しました。当時進められていた新しい駅の工事現場で足場が崩れるなど、強風による被害も相次ぎました

暖冬で雪不足になる一方で、突然の大雪や雨になる。なぜなのでしょうか。

ふだんの冬なら、寒気が日本列島を覆いカラカラの晴天が多くなります。しかし、エルニーニョの時は暖気が強くて、日本の南岸に低気圧が発生しやすくなります。この影響で雨や風が強くなるのです。その上で、低気圧が上空の寒気を引き込んでくると、東京など太平側でも雪を降らしたりもします。

暖冬といえども、暖かいだけではなく、低気圧の影響で寒気が来たり戻ったりするので、急な嵐や雪となることもあるわけです。

一般的に、エルニーニョの時は冬は暖冬傾向で、夏は冷夏の傾向があります。しかし今年は冷夏ではなく、過去最も暑い記録的な猛暑でした。なにが起きているのでしょうか。

■47年ぶりの現象「冬ラニーニャからの夏エルニーニョ」 今年の猛暑にも影響か

今年は7年ぶりのスーパーエルニーニョだけでなく、もう1つ、47年ぶりの現象が起きていたんです。それが「冬ラニーニャからの夏エルニーニョ」です。

実は、前の冬まではエルニーニョとは逆の「海面水温が下がる」ことによる「猛暑・厳冬」傾向にある「ラニーニャ現象」が起きていたんです。しかも、このラニーニャは3年も続いた長いものでした。

これが終わってすぐ、春からはエルニーニョが始まり夏も続いたんですが、それまで長く続いたラニーニャ現象の影響が夏まで残り、今年の夏は「エルニーニョなのに厳しい暑さとなった」とみられています。

■エルニーニョによる暖冬…私たちの生活への影響は?

これだけ地球規模で気候が変動していくと、私たちの生活への影響が大きそうです。エルニーニョ現象は、日本の経済や私たちの生活にも影響を及ぼします。

第一生命経済研究所の永濱利廣首席エコノミストによると、この冬考えられるエルニーニョ現象により、次のような影響が考えられるといいます。

プラスの影響として
・光熱費が減る
・外出しやすくなりテーマパークやゴルフ場などがにぎわう
・車の事故が減る

一方で、経済にとってはマイナス面もあります。
・冬服が売れない
・スキー場は死活問題になる可能性がある
・スタッドレスタイヤなどが売れない

このように、暖冬によって個人消費が下がる可能性もあり、経済に与える影響が出るのではと指摘しています。そして、エルニーニョ現象は、異常気象を通じて世界の食料価格を押し上げる可能性があるので、小麦の価格が高騰する可能性があるということです。

ただし、実際に私たち消費者に直接影響が出るとしたら1年後になるので、この冬すぐに影響が出るわけではないそうです。

   ◇

大きな気候変動が起きてきていることを実感しますが、私たちはこの気象の変化に対応していく必要があるでしょう。この冬はスーパーエルニーニョによる暖冬から一変して、大雪などが引き起こされる可能性もあります。気象の変化に十分ご注意ください。

(2023年10月24日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

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