カラスの襲撃相次ぐ ヒナが巣立ちの時期迎え親が“凶暴化”
東京都心などでカラスに襲われる被害が相次いでいます。専門家によると、この時期は特に注意が必要で、駆除業者への依頼も増加しているといいます。
◇
今月18日、東京・上野の百貨店に警察が出動しました。警察は網を持ち、その視線の先にはカラスがいました。
この“思わぬ訪問者”に、店内は一時騒然。捕獲しようと網を近づけるもカラスは網をかわし、売り場へと逃げ込みました。警察は逃げ惑うカラスを追いかけ無事、確保しました。
都会にすみ着くカラスは、見慣れた光景となっています。6月の繁殖期には、威嚇しながら後ろから人を襲うなど、通行人がカラスに襲撃される被害が相次いでいるのです。
その理由について、カラスなどの生態に詳しい専門家に聞きました。
東京大学名誉教授 樋口広芳さん
「ヒナが巣から出る巣立ちの時期なんです。(ヒナに)外敵が近づいてくれば、それを追い払おうとする。要注意の時期」
カラスのヒナがふ化して飛べるようになるまでの約1か月は、ヒナが大人になるまでの重要な時期。その間は親鳥が側で見守っていて、人間が近づくと威嚇などをしてくるといいます。
東京大学名誉教授 樋口広芳さん
「カラスのヒナと思われる鳥が路上や植え込みの中にいても、絶対にさわらないこと」
◇
巣立ちの時期を迎えカラスへの警戒が強まる中、26日、駆除を行う業者に自治体からカラスのヒナの捕獲の依頼が入りました。
アルファー住宅 有田裕亮主任
「(例年)この時期だと60件。今年はもう80件近くはきているので」
現場は横浜市内の住宅街です。そして、依頼のあった家に行ってみると、駐車場には飛ばずに歩くヒナらしきカラスの姿がありました。近づこうとした途端、親鳥の威嚇するような鳴き声が響き渡りました
カラスの被害に悩む住民
「困っちゃうよ。夜中から鳴いて、向こうの方に行くんだけど、またこっちに戻ってきちゃう」
住民を悩ませるカラスの親子。
アルファー住宅 有田裕亮主任
「今よりもさらに近づくと、近くまできて威嚇してくると思います」
親鳥を警戒しながら、ヒナの捕獲作業にあたります。網で捕まえようとすると、ヒナは車の裏へと逃げていきました。そして車の裏から追い出し、無事捕獲することができました。
カラスのヒナにはなるべく近づかず、近くを通る際は帽子や傘などで頭を守ることが大切だということです。