「信用を著しく失墜させた」 日大アメフト部“薬物事件”対応めぐり…第三者委員会が会見
日本大学アメリカンフットボール部の薬物事件の対応について、31日午後4時から第三者委員会が報告書について会見を行いました。
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日大アメフト部の薬物事件をめぐり、31日午後4時から記者会見が開かれました。第三者委員会は林理事長、酒井学長、澤田副学長ら執行部の対応が不適切だったとする調査報告書を発表しました。
特に問題視されたのは、7月6日に大麻とみられる植物片が見つかってからの対応です。
日大アメフト部薬物事件・第三者委員会 綿引万里子委員長
「7月6日に澤田副学長は、アメフト部員の部屋の荷物検査で、大麻の可能性が極めて高い植物片が保管された缶を発見した後、7月18日に警視庁に本件缶を預かっていることを報告するまで、12日間これを大学本部で保管し続けてしまった。この対応の不適切さは際立っている」
「部員のベッドの収納庫から発見された、本件に収納されていた小さなビニール袋、パケというが、その中の植物片が大麻の可能性が極めて高いことは、元検事である澤田副学長には容易に認識できたと思う。そのような本件缶を大学が預かり、そのことを警察に報告しなければ証拠の隠匿を疑われ、さらに大麻は所持自体が違法だから、預かり行為が犯罪になる可能性もあった。社会からの本法人の隠ぺい体質を疑わせ、本法人の信用を著しく失墜させた最大の原因であったと考えています」
「本法人は組織ですから、不適切な職務行為がなされた場合、監督し、制御し、けん制するのが組織としてのガバナンスのあるべき姿。今回はそのガバナンスが機能しなかったと言わざるを得ない」
「澤田副学長を監督する学長のガバナンスの不全が問題。酒井学長は、6月30日に来校した警視庁の係官から、『アメフト部内に大麻部屋があるとか、指導陣も知っているのでは』という非常に深刻な情報が伝えられたことを澤田副学長から報告を受けている。しかし、その時、澤田副学長は、この問題は澤田副学長のほか、酒井学長、競技スポーツ部で対応したいという方針を報告した。酒井学長はこれを了承してしまいました」
「澤田副学長から7月7日に本件缶を発見して、大学本部で預かっているという報告も受けている。しかしその時、『本件缶を警察に届け出ろ』とか『警察に報告しろ』と一切アドバイスしていない。しかも、危機管理規程に基づく報告や役員規程に基づく報告もせず、林理事長にも報告していない。酒井学長の澤田副学長に対する監督義務の懈怠(怠り)であり、危機管理規程、役員規程に反した行為をして、組織としてのガバナンスが機能するのを阻害したと評価せざるをえない」
林理事長に報告があったのは、植物片が入った缶がみつかってから1週間後の7月13日です。第三者委員会は、報告を受けた後の林理事長の対応も問題視しています。
第三者委員会 綿引万里子委員長
「理事長の情報収集体制、報告ルールの不備があったと言わざるを得ない。林理事長は、このような報告体制について特段、問題を感じていなかったことが会見でわかった。組織の最高責任者としての責任、正しく認識していただくことが不可欠だった。それとともに、林理事長個人の責任というより、組織的対応できていなかった本法人の問題でもあった」
「危機管理体制が全く築かれなかったという点。本件では、危機管理総括責任者の村井常務理事のところに最初に報告されたのは、7月20日になってからでした。しかも、その後も執行部会や常務理事会で情報を共有し、組織的に危機に対応することについては澤田副学長が反対し、学長もその意見に賛成したため、危機管理体制が機能することが阻害された」
「間違った対応が始められたその時に、組織としてのガバナンスが正しく機能して、それを監督、是正できていれば、また、そこで発生している危機に対して組織として対応していれば、より早期に事態を解決に向かうことができたのではないかと考えております」
第三者委員会は「場当たり的でない適正な手続きによって、関係者の責任を明確にすることが必要だ」と提言しています。