「事実を矮小化」第三者委 日大アメフト部薬物事件で林理事長ら執行部の“危機管理体制”不備を糾弾
日本大学アメリカンフットボール部の薬物事件をめぐる日大の対応を検証する第三者委員会が会見を行い、林真理子理事長や副学長ら執行部について「事実を矮小化して時にはないものにするという姿勢だった」と厳しく批判しました。
◇
大麻の使用が疑われたのは11人で、そのうち逮捕者は2人。日本大学が、アメフト部員による“薬物事件”に揺れています。
10月31日午後4時、薬物事件をめぐる日大の対応を検証する第三者委員会のメンバーが会見に臨みました。
日大アメフト部薬物事件・第三者委員会 綿引万里子委員長
「大麻吸引を疑われている者がそれを認めなければ、また立証が困難であれば、大麻吸引の事実はないものとして事態を収拾させようとするもので、事実を矮小化(わいしょうか)して、時にはないものにするという基本的な姿勢のもとに行われた」
そこで繰り返された言葉は、ガバナンス体制、つまり組織の健全な運営の不備です。
綿引万里子委員長
「ガバナンスという観点からみても危機管理規定に違反するもの」
「今回はそのガバナンスが機能しなかったと言わざるをえません」
「ガバナンスの不全が問題になると思います」
“植物片”を発見し保管し続けたうえで、すぐに林真理子理事長に報告しなかった澤田副学長の対応については…
綿引万里子委員長
「大麻である可能性が極めて高い植物片が保管された缶。12日間もの間、これを大学本部で保管し続けてしまいました。この対応の不適切さは際立っていると思います。証拠の隠匿を疑われ、さらには大麻の所持自体が違法ですから、預かり行為が犯罪となる可能性がある」
日大の隠蔽体質を疑わせ、大学の信用を大きく失墜させた最大の原因と指摘しました。
◇
そして去年7月、日大を立て直すべく白羽の矢が立った林理事長については…
綿引万里子委員長
「理事長の情報収集体制、報告ルールの不備があったと言わざるを得ない。『誰も報告してくれなかったから仕方がないよね』と言っていいかということになると、それはそうではない。このような報告体制について特段問題を感じておられなかった」
報告を受けたにもかかわらず、即座に理事会を開かなかったことで、危機管理体制が全く築かれなかったと指摘しました。
その林理事長は、就任時の会見で「間違っていることは上の人に言う、そういう体質を作っていかなければいけない。透明化の上に透明化を重ねなければ、みなさんの疑念を晴らすことができない」と述べ、田中元理事長が築いた「悪しき体質」を変えると意気込んでいましたが、約1年で問題が起きる結果になりました。
さらに、林理事長と澤田副学長を巡っては、執行部が澤田副学長に解任の検討を求める動きがでています。
一方、澤田副学長は、一部メディアで林理事長に対し「世間体ばかり気にし、事実や真実を無視している」と批判するなど、“内紛”の様相を呈してきています。果たして執行部は信頼を取り戻すことができるのでしょうか?
◇
日大は30日夜「報告書の指摘を真摯(しんし)に受け止め、事態を招いた関係者の処分を行う」と発表。
第三者委員会は「自分たちで立ち直ろうとしなければ再建はできない。自分事として考えてほしい」と、日大側に責任の所在を明確にするとともに、今後の再建策を自主的に考えてほしいと訴えました。