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千年以上も続く「滝宮の念仏踊」3年ぶり奉納 見えた「伝統行事」の“大きな役割”とは――

2022年9月3日 13:13
千年以上も続く「滝宮の念仏踊」3年ぶり奉納 見えた「伝統行事」の“大きな役割”とは――

少子高齢化と人口減少、さらにコロナ禍で地域の伝統行事の存続が危ぶまれています。こうした中、先月、香川県綾川町で1000年以上も続く国の重要無形民俗文化財「滝宮の念仏踊」が3年ぶりに奉納されました。そこで見えたのは今の時代にこそ求められる伝統行事の“大きな役割”でした。

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■8月25日 滝宮神社
鉦や太鼓の音が響く中、花笠をかぶった踊り手が「ナムアミドーヤ」と唱える念仏に合わせて舞い踊ります。この地で千年以上の歴史を持つとされる「滝宮の念仏踊」です。

コロナ禍で2年休止されましたが、今年は規模を縮小して再開しました。地域ごとに11組ある踊り組から今年当番の3組が滝宮神社と滝宮天満宮で奉納。多くの人が見守ります。

念仏踊りの起源は平安時代にさかのぼります。讃岐の国司だった菅原道真が干ばつに苦しむ農民のために雨乞いを行った所、雨が降り農民らが喜んで踊ったのが始まりとされています。

年に一度、道真公への感謝と五穀豊穣(ほうじょう)を願って続けられてきましたが、“雨乞い”という原点を忘れる事はありません。

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全国ニュースで何度も取り上げられた、昭和48年夏の高松砂漠。「雨」「水」と大きく書かれたうちわを手に、神社境内で24年ぶりとなる雨乞いの特別念仏では、質素な衣装で真剣に祈願が行われました。

――千年というとてつもなく長い歴史。どのように継承してきたのでしょう。

奉納からさかのぼること1か月、綾川町の公民館を訪ねました。そこにいたのは3年ぶりに集まった地域の踊りのメンバーたち。

滝宮の念仏踊は、地域ごとに11の組があり、当番が回ってきます。3年ぶりの今回は、山田上組が担当。記憶をたどりながらの練習が続きます。初めて“太鼓打ち”で参加する泉谷桜理くん、9歳。隣で鉦(かね)をたたく父・泉谷真司さんと一緒です。

初参加の息子・泉谷桜理くん
「(Q.初めてやってみて?)なんか太鼓たたく所とか、合わせる所とかが楽しかった」

山田上念仏踊組 父・泉谷真司さん
「ええと思いますよね。僕がやってきたのをやっていくんですから。ちょっとうれしいですね」

“太鼓打ち”は6歳から12歳までが担当し、前任者が次の子を教えます。休憩時間は、世代を問わずにぎやかに会話を交わします。

メンバー
「楽しくないとあかんやろ。こうやってみんなで話すんが半分以上の割合じゃないと、やっぱ子供ら来んで」

メンバー
「引っ越してきて、声かけてもろて、そこでコミュニティーに入れたっていうのがね。全然なじみがない人間だったので、こっちで育ってないから。それが一番の原動力です」

48年間、山田上組の代表を務める佐々木さんは、こうした何気ない時間が歴史を紡ぐうえでは欠かせないと言います。

山田上念仏踊組 代表・佐々木昇さん
「昔の状況があったからこういう風に起源がある訳で。それを引き継いで、ずっとやって来てるから出来ればずっと続けてほしいと」

休憩中に自主練習を始めた子供たち…。未来へつながる道が見えたように思えました。

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8月11日、滝宮の念仏踊りに先立って地元神社に奉納される「村踊り」が披露されました。花笠に陣羽織姿の下知(げんじ)が大うちわをひらめかせて舞う、念仏踊りも3年ぶり。初参加で太鼓を打つ桜理くんも中鉦を務めるお父さんの横で息もぴったり。

千年以上も続いてきた伝統行事を続けるためには…

山田上念仏踊組代表・佐々木昇さん
「(Q.これまで苦労も)あります、あります。やっぱり人ですね。やってくれる人の確保。それから、それを運営する経費ですね。その2つは、いつもついてまわる」

下知・川西志尚さん
「これからも。なかなか難しいですけど、廃れないように頑張っていけたらと思います」

お父さんと一緒に大役を果たした桜理くん。

初参加の息子・泉谷桜理くん
「また来年も頑張る」

父・泉谷真司さん
「息子がやんじょる所少ないんで、これから僕らが見本になって。こういう祭りとか、伝統芸能が続いてくれるように、みんながなってくれたらいいなと思いよります」

古より多くの人の思いと助けが合わさって続く「伝統行事」。コロナ禍の今だからこそ、地域と人のつながりが求められるのです。

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