「パラ」開催へコロナ対策 どんな検討が?
シリーズでお伝えしている来年に延期された東京オリンピック・パラリンピックの特集です。前例のない延期決定に、今後はギモンだらけ。大会運営を取り仕切る大会組織委員会のキーマンがそのギモンに答えます。10回目の5日は「パラリンピック」です。
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パラリンピック特有の球技であるボッチャ。脳性まひなどで呼吸機能が弱い選手も多くいるため、いま新型コロナの感染対策が重要な課題となっています。
2日、国が主体となる新型コロナ対策会議で、具体策の中間整理をまとめました。パラリンピックについて、どんな検討が行われているのでしょうか。組織委員会でパラリンピックを統括するゲームズ・オフィサー中南久志さんに聞きました。見せてくれたのは「ボッチャ」のボールです。
中南久志さん「私がいまビニール手袋をしてボールを触っているのは革でできているボールが多いですから、アルコール消毒をすると痛む」「選手はマイボールは触るが、ほかの人とボールは共有しない。審判の方がボールを集めてくるとき、手袋をしてボールを集めて選手に戻す」
パラリンピックでは、感染すると重症化のリスクが高い選手も出場するため、障害の特性に応じた競技別の対策が必要となります。
視覚障害の選手には、ソーシャルディスタンスの確保の認識やひとりで消毒できないなどの課題があるといい、サポートのあり方が検討されています。
中南久志さん「障害のある方が選手として多数集まってきますので、職員・ボランティアであれ、検査をして入国してきたアスリートにむやみに接触するのもはばかられる。どういう方が選手をサポートするのが一番いいかを重点的に検討している」
障がいの有無にかかわらず、すべての人々にとって「アクセシブルでインクルーシブな大会」を掲げる東京大会。観客についてはこんな工夫が――。
これは、公共交通機関をつかって国立競技場に向かう際に車いすの人などが、どのルートを通ればスムーズにアクセスできるかを示した地図。各競技会場ごとに、この「アクセシブルルート」をもうけ、誰もが楽しめる大会を目指します。現在、仮設でつけたスロープがのぼりやすいかなど、設計図ではわからない部分について現地での確認作業を進めているといいます。
中南久志さん「実際に会場で選手の活躍を目の当たりにしていただくと感動しますし、機能を失った部分をこういうことでカバーしているんだということが本当によくわかりますので、勇気づけられることがいっぱいあります。日本の社会にエネルギーを充てんして、共生社会実現に向けて進んでいければいいと夢をもっております」