ウイルス扱う特別施設 場所要件など報告書
東京・武蔵村山市にある国立感染症研究所村山庁舎には、エボラ出血熱のウイルスなどを扱う特別な施設があります。この施設の移転を検討する際の場所の要件を盛り込んだ報告書がまとまりました。
エボラ出血熱やラッサ熱など重い病気をもたらすウイルスを安全に取り扱えるようにつくられた特別な施設は、バイオセーフティレベルが最も高い4である「BSL-4施設」と呼ばれています。
BSLー4施設は世界24か国にあり、日本国内では、国立感染症研究所のうち、東京・武蔵村山市にある「村山庁舎」に設置されていて、去年9月、エボラ出血熱のウイルスが運び込まれ、検査法の精度の検証などが行われています。
しかし、この施設がある村山庁舎の老朽化が指摘されており、エボラ出血熱のウイルスの搬入にあたっては、周辺住民の反対などもあり、厚生労働大臣と武蔵村山市長が、「武蔵村山市以外の適地におけるBSLー4施設の確保について検討し、結論を得る」と確認しました。
これを受けて、ことし、厚生労働省の検討会が2回開催され、11日、BSL-4施設の今後についての報告書がまとまりました。
報告書には、BSLー4の立地条件としては、
■BSL-4施設だけが他の施設と離れたところに位置しないこと。
■厚生労働省と近距離であること。少なくとも、現在の村山庁舎と厚労省との距離(およそ29キロメートル)から大きく離れるようなことがあってはならない。
■自然災害による被害を少なくできることが求められる。
■地元との十分なコミュニケーションに基づき、地域の方々の理解を得る必要がある。
■BSL-4施設の計画から建設、承認、地元住民の理解を得た稼働にはおよそ5年から7年以上の月日が必要と予想される。
■国の感染症対策の基盤を担う感染研にBSL-4施設が存在しない事態は、短期間であったとしても絶対に避けなければならない。
…などとされています。
報告書を受けて、厚労省の担当者は、「移転については今後検討していく。具体的な移転先は決まっていない」と話しています。