東日本大震災を語り継ぐ 9歳、最年少の語り部の挑戦 岩手・釜石市
今年3月、岩手県釜石市の当時小学生3年生の女の子が、釜石市内では最年少となる東日本大震災の語り部としてデビューしました。日に日に成長を続ける9歳の語り部。今年10月に、企業向けの研修で初めて話した様子を、テレビ岩手が取材しました。
学校終わりのランドセル姿で、釜石市の震災伝承施設「いのちをつなぐ未来館」を訪れたのは、近くの鵜住居小学校に通う佐々木智桜さん、小学4年生です。
震災の教訓を語り継ぐ、釜石最年少の語り部、智桜さん。この日は、あすに迫った語り部活動のリハーサルで未来館を訪れました。
智桜さんは、震災のちょうど3年後、2014年の3月11日生まれです。母の智恵さんは「いのちをつなぐ未来館」で、震災ガイドとして働いています。
去年、智恵さんは震災の体験や教訓を後世に語り継ぐため、釜石市が養成する「大震災かまいしの伝承者」の研修に参加しました。その際、娘の智桜さんも参加したいと親子で研修に臨み、伝承者、語り部となりました。
今年3月に、語り部としてデビュー。これまでは「いのちをつなぐ未来館」や「釜石祈りのパーク」に訪れた人たちを対象に、震災について話してきました。
今回は、初めてとなる、企業向け研修での語り部。
智桜さんは、東京の防災設備メーカーの社員およそ20人を前に、未来館のスタッフとお母さんからの質問にこたえる形で、自分がどんな気持ちで語り部をしているかなどを話しました。
智桜さん
「亡くなったおばあちゃんや叔母ちゃんの事を考えながら語り部をしています」「祈りのパークにある釜石市防災市民憲章をいつも意識して、語り部をするようにしています」
この中で、「学校で防災についてどのようなことを学んでいるのか?」という質問に対し、智桜さんは「毎月11日は命を大切にする日」で、「てんでんこの歌」を歌っていると話し、実際に披露しました。
そして、最後に家族から教わった大事なこと、自分が一番伝えたいことを話しました。
佐々木智桜さん(9)
「命が一番大事だということ、逃げるのが遅くなると命をなくしてしまうかもしれないから、『地震がおきたときは何も持たなくていいから、とにかく逃げて命さえあればいいんだよ』と、お父さんに教えてもらっています。自分が教えてもらったことを、みんなにも伝えていきたいと思います」
研修に訪れた人たちは、智桜さんが話す防災と命の大切さについて、真剣に耳を傾けていました。
研修の参加者
「自分が震災を受けていないのに、伝えていくという大切さを教えてもらいました。私たちも震災のことを継いで、二度とこのような大きな被害をおこさないよう、何かできることが無いかなと考えさせられる1日でした」
佐々木智桜さん(9)
「最初から終わりまで、ずっと緊張してたんで、うまくいって良かったなとしか思えません。ここ(未来館)のこともしっかり伝えられるようになって、防災士の資格も取得したい」
智桜さんの母 智恵さん(41)
「語り部という活動をですね、広めていくきっかけとなればいいなと思っているので、もっとお話しできることをたくさんしゃべってもらいたい」
外国の人にも伝えたいと最近、英語習い始めたほか、将来的には防災士の資格も取得したいと話す智桜さん。最年少の語り部の挑戦が続きます。