東日本大震災の記憶を風化させないために…石巻市の中学生が学び伝える“いのちの大切さ”とは
12年前の東日本大震災で巨大な津波の被害を受けた宮城県石巻市。今では市内も復興が進み、町並みを見ると時の流れを感じさせます。一方で、震災当時乳幼児で記憶がない世代やを震災を知らない世代も増えてきて、どうやって後世に震災の記憶を受け継ぐか課題も出てきていました。今回は、こうした震災の記憶をいかにして次世代へと語り継ぐのか様々な視点から取り組んでいる中学校を小髙茉緒アナウンサーが取材しました。
小髙アナが訪れたのは、宮城県石巻市立桃生中学校。こちらでは、命の大切さを学び伝える活動を行っています。取材した日、生徒たちが集まり話し合いをしていました。
小髙茉緒アナウンサー
「いまってどういう話し合いをしてるんですか?」
生徒
「3月3日に(東日本大震災の)追悼集会があるんです。そのときに門脇小学校に行ったことを発表する。それをまとめています」
今年の3月3日に桃生中学校では、「みやぎ鎮魂の日 生徒集会」という会を開き、生徒たちが授業などを通して学んだ教訓などを発表しました。
こうした活動を行っているのが、2022年度から始まった「いのちの大切さを考える会」。活動内容は、震災遺構の門脇小学校で防災を学んだり、生徒会主催で避難訓練を行ったり、阪神・淡路大震災で被害を受けた中学校とリモートで繋いで震災の教訓をともに学んだりしているんです。
今年の生徒集会でスピーチしたのは2年生の武田瑚白さん。「いのちの大切さを考える会」の会長です。取材したときは、どうすれば震災を風化させずに伝えていくことができるのか。武田さんを中心に生徒たちの議論は白熱していました。
武田さんは、震災当時2才で当時の記憶がまったく無いといいます。だからこそ震災の記憶を次の世代に繋いでいくことが重要だと考え、仲間たちに訴えていました。
小髙茉緒アナウンサー
「みやぎ鎮魂の日 生徒集会で武田さんの意気込み、何か伝えたいっていう思いはありますか」
宮城県石巻市立桃生中学2年 いのちの大切さを考える会 会長・武田瑚白さん
「私自身が今までしてきたことこれからしていきたいってことをみんなに共有させてもらって、みんなで未来のためにつないでいきたい。そこを伝えられるように頑張りたいと思ってます」
そして迎えた3月3日。武田さんは復興に携わった人たちへの感謝を胸に、自らの思いを語りました。
宮城県石巻市立桃生中学2年 いのちの大切さを考える会 会長・武田瑚白さん
「あんなに暗い状況の中で立ち上がり前を向き、復興のために歩き出した人たちが多くいる。そんな人達のおかげで、今の明るい町があるということもみんなで伝えていきたいと思っていますけれど私一人で1000年後まで語り継ぐことは不可能です。だからこそ、このいのちの大切さを考える会 の活動をしています。私はこの会の土台を今年1年かけて作り上げ、後輩に引き継ぎたいと考えています」