原告カップルの思いは…同性婚訴訟、高裁2例目の「違憲」判断 専門家は「状況打開の一歩」と指摘
同性カップルらが国を訴えている裁判で、東京高裁は、同性婚を認めない民法などの規定について「憲法違反」と判断しました。高裁としては2例目の判断となります。原告のカップルの思いを取材しました。
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「せーの!」
「わー!」
横断幕を掲げて喜ぶ原告ら。30日、東京高裁の前は、拍手に包まれました。
都内などに住む同性カップルら7人が国を訴えた裁判。
「一番の判決だなと思っています」
「本当に報われたような、本当にうれしい気持ちです」
東京高裁は30日、同性婚を認めない現在の民法などの規定を、“憲法違反”と判断したのです。
原告団の中に姿があった、広橋正さん(55)と、パートナーの、かつさん(39)。宮古島で宿泊施設を経営しながら2人で暮らしています。つきあい始めて、12年。“ふうふ”のように、長い時間をともに過ごしてきました。
広橋正さん(55)
「どんな時でも心の中の支えになっていて、温かいものが自分の中にあるかなって感じですかね」
かつさん(39)
「家族としてもう思っているので、人生を一緒に歩んでいきたいなと思っています」
でも、法律上は”他人”です。
広橋正さん(55)
「病気になったり事故もあるかもしれないし、結婚で2人が結ばれていないと“家族”と社会に認められていないと、ひとつひとつを乗り越えていくことが、すごく大変で、乗り越えていけなかったりもする」
5年前、国を相手に裁判を起こした2人。
2019年以降、全国の5か所で同性婚をめぐる6件の集団訴訟が起こされ、地裁の1審判決で「違憲」が2件、「違憲状態」が3件、「合憲」が1件と判断が分かれている状況です。
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そんな中、今年3月の札幌高裁の2審では、高裁として初めて「憲法違反」の判断が。そして30日、国の損害賠償については訴えを退けたものの、高裁として2例目となる「違憲」の判断を示した東京高裁。理由について、「性的指向という本人の意思で選択や変更ができない属性により、重要な法的利益を受けることに区別が生じている状態を維持することに、合理的根拠はない」としています。
判決について専門家は…
同性婚に詳しい 早稲田大学・棚村政行名誉教授
「分岐点になってくるんじゃないかと考えています。『違憲である』という明確な判断を示すことによって、国会のこれまで動かなかった状況を打開する一歩になると思う。5~10年以内に実現するのではないかと思っています」
かつさん(39)
「期待と不安があったんですけど、私たちが言ってきたことが裁判所に伝わって本当にうれしかったです」
広橋正さん(55)
「本当にいい判決でした。ありがとうございました」
(10月30日放送『news zero』より)