女性の再婚「100日禁止」ルール撤廃へ――子ども“無戸籍”問題どうなる? 民法改正、再婚後は「現夫の子」に
離婚後300日以内に生まれた子は前の夫の子とみなし、女性のみ離婚後100日間は再婚禁止とした民法が、ようやく改正の運びとなりました。子どもが無戸籍となり、行政サービスを円滑に受けられない問題もありました。見直しの内容やあるべき形を考えます。
■120年以上前から…女性だけに制限
有働由美子キャスター
「離婚してから100日間は再婚禁止という、女性だけに定められているルールが今、見直されようとしています」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「なぜこうしたルールがあるかというと、『生まれた子どもが誰の子なのか』を定めるために必要とされているからです。今のルール、民法はどうなっているのでしょうか」
「離婚から300日以内に生まれた子は、前の夫の子ども。結婚から200日を超えて生まれた子は、今の夫の子ども。このように定められていますが、これは明治時代、120年以上前に決められたままです」
「このルールのもと、子どもの父親が(誰か)すぐに判断できるようにするため、女性は離婚後、100日間は再婚できないとされています」
「ただ、女性が夫以外の男性との間に子どもを身ごもった後に再婚し、200日以内に出産した場合、新たな夫との間に生まれた子どもであっても、戸籍上は前の夫の子どもになってしまいます」
■出生届出さず…「無戸籍」問題に
有働キャスター
「今はDNA鑑定しようと思えばできる時代なので、理不尽に見えます」
小栗委員
「それだけに、女性が出生届を出さず、子どもが無戸籍、つまり戸籍がない状態になってしまうことが問題になっています」
「今年1月時点で法務省が把握している無戸籍者は825人。戸籍がないと、保育所に入るにも、病院に行くため保険証を作るにも、その都度居住していることを役所に確認してもらう必要が出てきます」
有働キャスター
「どれも生きていくのに必要な行政サービスをすぐに受けられないのは、子どもたちにとっても大変ですよね」
■辻さん「現代に合ったルールに」
小栗委員
「そうした事態を避けるためにも、今回の見直し案では、再婚後に生まれた子どもは期間を問わず、今の夫の子だとみなされるようになります。これに伴い、女性の離婚後100日間は再婚禁止というルールも廃止されることになります」
「法制審議会は取りまとめた内容を近く法務大臣に答申する予定で、その後、法務省はなるべく早く改正案を国会へ提出することを目指しています」
有働キャスター
「ずっと女性だけに続いてきた制限が、ようやく廃止となりそうです」
辻愛沙子・クリエイティブディレクター(「news zero」パートナー)
「離婚する夫婦もそれほど珍しくない令和の時代でもなお、女性だけにこのような制限があること自体、驚きです。家族のあり方や個人の生活スタイルは、どんどん変化して多様化していると思います」
「民法は私たちの生活と最も近い法律です。同性婚や選択的夫婦別姓制度もそうですが、価値観や生活の変化とともに、現代に合わせて変わっていくべきではないかと思います」
有働キャスター
「今回の見直しでも、現在無戸籍の人たちが全員すぐに救われるわけではありません。私たちが生まれたら当たり前に持てるはずの戸籍ですから、無戸籍の人たちの立場に立った改正や支援を、国や自治体には続けてほしいと思います」
(2月2日『news zero』より)