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落選25歳 若者に政治家が“刺さらない”

2021年11月12日 17:26
落選25歳 若者に政治家が“刺さらない”

ベテラン議員が落選するなど、一部で世代交代が求められた衆議院選挙。しかし、年代別にみると、立候補した20代は14人にとどまります。このうち当選者は1人だけでした。“25歳最年少”で挑み敗れた今井瑠々さん。落選後、いま思うこととは…。

■“25歳”を超えるものがなかった

10月下旬、彼女はSNSでこう訴えかけていました。「25歳、地盤も看板もお金も知名度もありませんが、“志”だけはあります。未来をあきらめたくない」

岐阜5区から立候補した今井瑠々さん、25歳。6万8615票を獲得しましたが、地元のベテラン議員を相手に約1万4000票差で敗れました。東日本大震災をきっかけに政治家を志した今井さん。勤めていたコンサルタント会社を辞め、政治の世界に挑戦しました。

――落選後、今の心境は

今井瑠々さん
「今回の結果は悔しいです。若い世代が当選できなかったというのもあり、応援していた皆さんにも申し訳ない気持ちです。皆さんの期待にしっかりと応えていくことが、これからの私に必要だと思います」

――25歳での立候補、選挙戦を振り返ってみて

今井瑠々さん
「候補者として知名度がなかったので、まず知っていただくのが最初の課題でした。『25歳で国政を目指すってどういう子なんだろう?』というところからなので、この子ならしっかりと信頼できる、応援したいなと思ってもらえるように、支援者との人間関係を築いていくことが難しかったです」

最年少で挑んだ衆院選。今井さんは、“若者という強い武器”を超えるものが自分にはなかったと振り返ります。

――選挙期間中、“25歳 最年少”とクローズアップされた一方、「25歳の小娘が」という否定的な声もあったみたいですね

今井瑠々さん
「政治経験もない、人生経験も浅い中で、『国政に挑戦して本当に当選できるの?』というような皆さんの声があったので、そこは自分が(政治家を)目指してきたんだと。『25歳の小娘』と言われれば、もちろんその通りですけど、私がそれ以外の強みをはっきりと示せなかったのは実力不足かなと思います」

――初めての選挙でしたが、家族の理解は

今井瑠々さん
「家族の中に、これまで選挙や政治に関わった人がいなかったので、いざ25歳で国政選挙に出るとなったときは、本当にお金の面とか、ノウハウの面で何もない状態だったので大反対されました。“不安8割”、やりたいという“志が2割”でしたね」

当初は、両親も大反対だった今井さん。夫は、選挙のために仕事を辞めて支えてくれたといいます。

今井瑠々さん
「最初は自分1人で選挙活動を考えていたんですが、色んなスケジュール管理や資金管理など、1人だけでやるというのは、すごく難しいと思いまして、夫に相談しました。自分の志を一緒に叶えてもらいたいと協力をお願いして、結果、仕事を辞める形でこの期間手伝ってもらいました。選挙活動はすごく体力がいりますし、1人ではできないと実感しました」

■若者に政治家が“刺さって”いない

――若者の政治離れが言われていますが、どうしたら関心が得られる

今井瑠々さん
「今回の選挙を戦って分かったのは、若い方に政治家が“刺さって”いないこと。『政治に関心を持ってください』ではなくて、まずは候補者に興味を持ってもらうことです。すごく魅力的だなとか、どんな話をしているんだろうとか、候補者に関心を持ってもらえる取り組みだったり、政治家自身が発信していくことがカギになるのかなと思います」

――今井さんはどんな未来をつくっていきたいですか

今井瑠々さん
「政治に多様性を取り入れていくことが私の政治信条です。今、若い世代と女性(の国会議員)も少ない中で、どうしても子育てだったり、選択的夫婦別姓の問題だったり、セクシュアルマイノリティーの人権問題など、優先順位が下がってしまっています。これまで届けられなかった声をないがしろにしたり、なかったことにするのではなく、しっかりと議論ができる国会であってほしいし、政治であってほしいという思いがあります。小さな一歩が社会を変えていくことができるんだと皆さんが実感できず、いつか誰かがなんとかしてくれるだろうとなると、どんどん現状維持、先送りになってしまう。この流れを私は変えたいです」

若い世代が、これからの日本の政治を切り開いていくことを目標とする今井さん。選挙には若者を阻む壁があるといいます。

今井瑠々さん
「被選挙権(立候補できる権利)の年齢が下がるとか、供託金(立候補のためのお金)が下がるとか、選挙に出やすいバックアップが整うとか、色んな環境が整えば、もっと若い世代が声をあげる政治、選挙に関わる若者は確実に増えていくと思います」

■若者に阻む“壁”当選者465人中、20代はわずか1人

満25歳から立候補できる権利が得られる衆院選。今回、当選した465人を年代別にみてみると、最も多いのは50代の160人。一方、20代はわずか1人、30代も少なく22人となっています。40代以上が全体の9割を占めています。今回、唯一20代で当選したのは、比例東北ブロックで復活当選した立憲民主党の馬場雄基議員。平成生まれで、現在29歳です。一方、最高齢は自民党の二階俊博元幹事長の82歳でした。

■「もっと若い世代や女性が政界に挑戦する未来は必ず来る」

今井さんは、25歳で立候補した自身の経験が、今後、同世代が政治に挑戦するきっかけになればと考えています。

今井瑠々さん
「今、日本は転換点にあると思っています。たまたま私が20代の政治家が少ないときに挑戦をしただけで、10年後20年後には、もっと若い世代、女性が政界に挑戦する未来は必ず来ると思っています。その礎として私は今回当選できなかったけど、きっかけづくりをさせていただいている。今は珍しいけれど、だんだんそれが当たり前になっていく社会をつくらなければいけないと思いますし、これからもっともっと増えていく社会が来ると私は信じています」
25歳という肩書で挑んだ、衆院選。今井さんは、次の選挙も挑戦していくということです。

※写真:今井瑠々さん(本人のツイッターより)

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