2県議が証言 河井元法相から現金、意図は
元法相の河井克行被告の公判が1月8日に行われ、広島県の高山博州県議と渡辺典子県議が証人として出廷。高山県議は、受け取った現金には票の取りまとめなどを依頼する趣旨があったとしたのに対し、渡辺県議は、買収の意図を感じたかという問いに、「いや、全く思わないです」と述べました。
8日の裁判では、午前の法廷で、高山博州県議が広島地裁からビデオリンクを利用して証人として出廷。高山県議は、去年4月に克行被告が事務所を訪れ、高山県議の県議選について「当選おめでとうございます」などと言った後に、「これ先生、当選祝いですからお取りください」と言って白い封筒を出してきたと証言。「最初は『お祝い』と言ってらしたが、奥さまの参院選が3か月先ですから、そういう目的もあったのだろうと思いました」と述べ、選挙運動や票の取りまとめ、自身の一票が求められていると感じたと話しました。
そして、「もらう筋合いがない」と強く押し返すも、「『まあまあ、そう言わずにお祝いですから』という一点張りでした」と述べ、断り切れず受け取った封筒の中には現金30万円が入っていたと証言しました。
そのおよそ1か月後、5月には案里被告が事務所を訪れたと述べ、その際、高山県議は「ご主人にこの封筒を返してください」と言って案里被告に封筒を渡そうとしたと話しました。すると、案里被告は冷静に、「人格が違うから受け取れません」と言って受け取ろうとしなかったと証言。さらに、高山県議は「案里被告が持っていたカバンの中に『持って帰ってください』と言って封筒を差し入れまして、案里被告は『まあまあ、まあまあ』と言って封筒は机の上に置いて立ち去りました」と述べ、現金を返すことができなかったと証言しました。
午後の法廷には、広島地裁からビデオリンクを利用して渡辺典子県議が出廷。渡辺県議は、去年5月末、渡辺県議の知人が会長をつとめる会社への克行被告の訪問に同行した際、克行被告が会長に後援会入会ハガキやポスターなどを渡していたと証言。その後、克行被告から「ちょっと」と呼び止められて車に乗るよう指示され、車内で、渡辺県議の後援会に案里被告を支援する意思を表明する人が少ないという趣旨の指摘を受けたと述べました。
その後、克行被告から「これ」と白い封筒を差し出され、反射的に「いえいえ」と一度断ったとしましたが、克行被告が「大丈夫、大丈夫、いつものだから」と言ったことから、「いつもいただいている寄付金ということで、いただけるのだと思いました」と述べ、政党支部からの寄付金として認識した上で現金10万円を受け取ったと証言しました。
渡辺県議は検察側から、「参院選の趣旨は全くない、一切ない、みじんもないと思いましたか」と問われると、「ええ」と答え、「私は、案里先生のご支援をするのは当然の立場だと思っていましたので、金銭をいただくから応援をするということはありません。特に不信感はありませんでした」とはっきりと述べました。
弁護側からも、現金の趣旨について「お金で買収しようとしていると思いましたか」と質問された際には、「いや、全く思わないです」「収支報告書に書けばいいことだなと思ったので、そのまま受け取りました」と答え、実際に収支報告書に記載したと証言しました。
また、検察官からの取り調べについて、「脅迫と言われれば脅迫かなということはあったと思います」「『あなたのためには(現金を)もらったって言った方がいいよ』ということを言われたことはありました」などと述べ、検察官への不信感があったと話しました。
【公判を追う】河井夫妻・選挙違反事件克行被告公判(1月8日)