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広島県議“金返せば大丈夫と”克行被告公判

2021年1月14日 19:48

元法相の河井克行被告の公判が、1月14日に行われ、広島県の山下智之県議や、砂原克規県議らが証人として出廷しました。山下県議が、受け取った現金は「しかるべき時に返せば大丈夫だと思った」と述べるなど、選挙買収の意図を感じながらも、返せば罪にならないと思ったという趣旨の証言が目立ちました。

14日の裁判では午前の法廷に、山下智之県議が証人として出廷。山下県議は2019年4月、父親を介して克行被告から現金30万円を受け取ったと証言しました。

山下県議は、10数年ほど前から克行被告との付き合いが無かったにもかかわらず、2019年3月31日に克行被告から急に「会いたい」と連絡を受けたとし、「県議選中でもあったし会いたくなかったので会いませんでした」と述べました。

自宅を訪れた克行被告に、山下県議の父親が対応し、翌日、父親は山下県議に「昨日、河井がこれを置いて帰ったぞ」と言って、白い封筒を渡してきたと証言。

中には現金30万円が入っていて、「河井案里被告の参院選の応援をしてくれという趣旨だと感じました」「『なんでこんなもん受け取ったんだ』と、ちょっと強い口調でしかるように言いました」と話しました。

その後、同様に克行被告から現金を受け取ったとする窪田泰久県議と共に、およそ2か月後に克行被告の事務所へ行き、スタッフに現金が入った封筒を返したと述べました。

山下県議は、現金について、「選挙違反のお金だと思いました」と証言しましたが、弁護側から、現金をすぐに返さなかったことや、一緒に返す人を探すためとして、同僚県議ら数人に現金を受け取ったことを話したことなどから、選挙買収の認識は薄かったのではないかと追及を受ける場面も。

それらの質問に対し、山下県議は、「しかるべき時に返せば大丈夫だと思いました。受け取ったことにならないのかなと思いました」「深くは考えなかったです」などと述べ、認識が薄かったことをにおわせる証言もありました。

午後の法廷には、砂原克規県議が出廷。砂原県議は、克行被告から2回にわたり、あわせて50万円を受け取ったと証言。1回目については、2019年5月に事務所を訪れた克行被告が、「参議院の選挙があるのでよろしくお願いします」と言って、後援会の入会申込書などの選挙グッズを持参してきたと述べました。

そして、「帰り際にテーブルの上に封筒を置かれました」「現金じゃないかなと思いました」「選挙を手伝ってもらいたいんだなと思いました」と話し、受け取りを断ったり、領収書の発行を提案しても克行被告は、「まあまあ」と言って帰ってしまったとして、現金20万円を受け取ったと証言しました。

また、2019年6月にも克行被告が事務所を訪れ、「引き続き参議院の選挙をよろしくお願いします」と言って、帰り際に白い封筒を机に置いて帰ったとし、さらに現金30万円を受け取ったことも証言しました。

砂原県議は、「いずれ返そうと思っていた」「案里被告の、出陣式の陣中見舞いとして返そうと思った」などと述べるも返すことができず、弁護側から「陣中見舞いで返せば罪にならないと思ったのか」と問われると、「思ってました」と答えました。

【公判を追う】河井夫妻・選挙違反事件 克行被告公判(1月14日)