厚労省、自治体に“ワクチン先行事例”紹介
新型コロナウイルスの重症化などを防ぐワクチンの接種体制について、厚生労働省は自治体に対し、東京都練馬区の計画などを先行事例として文書で紹介しました。
新型コロナウイルスのワクチンは来月中旬にも承認される見込みで、医療従事者から接種が開始され、早ければ4月以降に高齢者への接種が始まる見込みです。高齢者から始まる住民への接種の体制は、市区町村が調整し、地域の状況に応じて決めることになっているため、厚労省は市区町村に対し、先行事例を紹介しました。
そのうちの一つ、「練馬区モデル」は、かかりつけ医などでの個別接種と区立施設などでの集団接種を組み合わせるかたちとなっています。
区の資料によりますと、区内の診療所およそ250か所に、住民が直接予約して接種できるようにするほか、かかりつけ医がいない人や土日を希望する人など向けに、集団接種も用意します。平日は6か所の病院、それに4か所の区立施設にも集団接種会場を常設し、土日は練馬区役所のほか、巡回で一定の学校の体育館にも集団接種会場を設ける計画で、住民は専用電話やWEBで予約します。別途、高齢者施設でも入所者の接種を行うということです。
供給されたワクチンは、まず4か所の集団接種会場も兼ねる区立施設で冷凍保存され、そこで小分けにし、一つの区立施設がおよそ50から70か所の診療所に配分します。配分するために、診療所は予約状況に応じて、区に必要な量を連絡します。ワクチンは2℃から8℃の冷蔵の状態で、配送業者の車やバイクによって診療所に運ばれます。
最初に承認される見込みのファイザーのワクチンは、冷蔵状態では保存期間が限られるため、診療所などでは冷蔵庫で保存し、5日以内に使いきるよう想定して予約を受け付ける必要があるとしています。また、1本の瓶に6人分入っているため、各診療所や集団接種会場での1日の予約は6の倍数にし、当日キャンセルが出た場合は、その分のワクチンを、付き添いで来た人(高齢者以外でも)で希望する人に接種するなど、無駄を出さないよう工夫するということです。
厚労省は先行事例として、練馬区以外にも、もう一つ、ある市の計画を紹介しています。
その市では、接種計画を作るのに、どれほどの人が接種を希望するか、年齢や地区ごとに事前に把握することが鍵だとして、住民に、無料の接種券、予診表を郵送する際、市独自の調査票も同封するということです。調査票に、接種を希望するかどうかのほか、基礎疾患や障害の有無、施設に入っているかなどを記入して市に返送してもらいます。市はそれらをもとに接種計画を調整し、対象者に接種会場と日にち、おおむねの時間が書かれた通知書を送ります。
また、その市では高齢者を二つに分け、まず75歳以上から接種を始め、ついで65歳以上75歳未満の人に接種します。これらの高齢者は、施設に入所している場合は各施設で、施設入所以外の人は集団接種を基本としますが、病気がある場合などは指定の病院で接種する計画です。高齢者には送迎を希望するかどうか聞くことも想定しています。
こうした先行事例も参考にしながら、市区町村ごとに、特徴を踏まえて計画をたてる段階に入っています。