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森会長“女性蔑視”発言 謝罪・撤回も…

2021年2月5日 9:12
森会長“女性蔑視”発言 謝罪・撤回も…

五輪運営トップの発言が、またも波紋を広げています。組織委員会の森喜朗会長は4日、会見で女性蔑視と取れる発言を撤回し謝罪しましたが、辞任は否定。批判はやまず、開催への逆風はさらに強まりかねない状況ですが、釈明の弁は――。


■「仕事に支障があっては」と撤回

4日午後2時、カメラの前に現れた東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)。会見を開きました。

「オリンピック・パラリンピックの精神に反する不適切な表現であったと認識しております。深く反省をしております」

自身の発言が不適切だったと認め、謝罪しました。

事の発端は、3日開かれたJOC(日本オリンピック委員会)の評議員会でした。その場で森会長は、女性理事の割合を40%以上にするという目標についてこう言及しました。

「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」
「女性というのは競争意識が強い。誰か1人が手を挙げて言うと、自分も言わなきゃいけないと思うのだろう。それでみんな発言する」
「組織委員会にも女性は7人くらいおりますが、みんなわきまえておられて」

大会運営トップの口から飛び出した、“女性蔑視”とも取れる発言。

「大会まであと半年になりまして、関係者一同、一生懸命頑張っておられます。その中でその責任者である私が皆さんのお仕事に支障があるようなことになってはいけないと、そう考えてお詫びして訂正・撤回をすると」


■小池知事「話が長いのは人による」

――会長は、女性は話が長いと思っていらっしゃるんでしょうか。
「最近女性の話聞かないから、あんまり分かりません」

東京都の小池知事は4日、「女性の声を生かすというのは、これはもう当たり前の話であって、話が長いのは人によるんじゃないでしょうか」と話しましたが…。

――小池知事は「話が長いのは人によります」という発言をされています。
「私も長い方なんです」

会見では、記者とのやり取りがかみ合わない場面もありました。

――オリンピック精神に反するという話もされていましたけども、そういった方が組織委員会の会長をされるのは適任なんでしょうか?
「さあ。あなたはどう思いますか」
――私は適任じゃないと思うんですが。
「じゃあそういう風に承っておきます」
――「わきまえる」という表現を使われていましたけれども、女性は発言を控える立場だという認識ですか?
「いや、そういうことでもありません」
――じゃあなぜ、ああいう発言になったんですか?
「場所だとか時間だとかテーマだとかに合わせて話していくことが大事なんじゃないですか。そうしないと会議は前に進まないんじゃないですか」
――それは女性と限る必要あったんですか?
「だから私も含めてって言ってるじゃないですか」


■会長職の辞任は否定

そして森会長はこう述べました。
「辞任するという考えはありません。私は一生懸命、献身的にお手伝いして7年間やってきたわけですので、自分からどうしようという気持ちはありません」

――ご自身がなんらかの形で責任を取らないことが、逆に開催への批判を強めてしまうのではないかと思うのですが、どうお考えでしょうか?
「はい、それはご心配いただいたということであれば、ありがとうございます。誤解を生んではいけないので、撤回しますと申し上げているんです」
会長職の辞任については否定しました。


■「恥ずかしい」「責任持って」
街の人に話を聞きました。

不動産関係(20代)
「まあ、責任感に欠けるかなと」
――組織のトップがこういう発言をしてしまったということに。
「まあ、ついていきたくはないと思いますね」

会社員(50代)
「先が思いやられるというか、自分の言葉には責任を持ってほしいですよね」

経営者(20代)
「今のグローバルな流れとは全然違うような発言をするっていうのは、開催国としては恥ずかしいな」

森会長の発言を海外メディアも大々的に報道しました。
アメリカのニューヨークタイムズは「森会長が会議で女性に制限を設けることを提案」、イギリスのインディペンデント紙は「謝罪会見の場でも女性差別問題について軽視し続けた」と報じました。


■首相「詳細承知しておらず」

国会では、野党が菅首相を追及しました。

立憲民主党・枝野代表
「わが国の国際的な信用のために、森会長には辞めていただく。その指導力を総理、発揮されるべきではないですか」
菅首相
「森会長が発言をした内容の詳細については承知しておりませんが」
枝野代表
「いや、詳細見ましょうよ。どうにも言い訳のきかない発言で、世界に報道されているんです。森さんの首に鈴をつけられるのは総理しかいないでしょ」
菅首相
「スポーツ分野においても女性の社会参画が大事であると、このことは揺るぎないことだと思います」

4日夜、橋本五輪相は菅首相からの指示を受け、森会長と話したと明かしました。
「私からは昨日(3日)の発言につきまして、『あってはならないことである』という考えを強く申し上げさせていただきました」
これに対し、森会長は「大変申し訳なかった」と述べたということです。


■噴き出す批判、開催へ高まる不安

会見では、「森さんの五輪を見たくないという声もネットで上がっています。そういう声をどう受け止めますか」という質問に、森会長は「いや、だから謙虚に受け止めております。だから、撤回させていただきますと言っているんです」と答えました。

国内外から噴出する厳しい批判。都庁内からは「この手の発言は欧米ではアウト」「会見は逆効果だったんじゃないか」(幹部)といった声が聞かれました。

バルセロナオリンピックの柔道女子で銀メダルを獲得した溝口紀子さんは、「海外としては、森さんの向こうに見える日本社会そのものが女性蔑視の国なんだなって思われてしまっていたら、オリンピックの開催にふさわしいのか、そんな声も上がってくるんじゃないかなと懸念しています」と話しています。

森会長の会見について、IOC(国際オリンピック委員会)がコメントを発表しました。「森会長は本日(4日)、発言を謝罪した。これをもってIOCは問題が終わったと考えている」としています。


■ロンブー淳さん聖火リレー辞退に…

物議をかもす森会長の発言は、ほかにもありました。
2日には「(聖火リレーは)人気のあるタレントはあまり人が集まらない所で走っていただいたらいいんじゃないか。誰かが、田んぼを走ったら一番いいじゃないか」「コロナがどういう形であろうと、必ずやると」

こうした発言を受け、愛知県犬山市から聖火ランナーに任命されていたロンドンブーツ1号2号の田村淳さんは、ランナーを辞退することを表明しました。

この件について森会長は「タレントさんが来ればみんな集まってくる。そうすると密になるから、それをどう避けられるだろうかという話の例で」と、あくまで密を避けるための例を挙げただけだと述べました。

(2月4日『news zero』より)