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あすにも承認へ…“特例承認”その背景は?

2021年2月13日 17:46
あすにも承認へ…“特例承認”その背景は?

12日、事実上、承認された新型コロナウイルスのワクチン。「特例承認」としてわずか2か月で“承認”に至った背景について、専門家に聞きました。

12日午後9時ごろ―。

田村厚労相「ファイザーの新型コロナワクチン特例承認することについて、承認して差し支えないという結論をいただきました」

早ければ14日にも承認される、ファイザー社の新型コロナウイルスのワクチン。12日、ワクチンの有効性や安全性を審議する厚生労働省の部会で、「承認して差し支えない」と判断されました。

今回のワクチンの対象は、16歳以上で、妊婦も接種可能。体が弱い高齢者は、医師に相談の上で接種が可能ですが、過去にこのワクチンの成分に重いアレルギーを起こしたことがある人は、接種できません。

どのように承認されたのでしょうか。

ワクチン承認の舞台裏について、2016年までの10年間、部会メンバーを務め、過去のワクチンの特例承認に携わった専門家に話を聞きました。

埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 前崎繁文教授「薬(ワクチン)の承認は有効性と安全性、この2つが担保されたら承認となります。部会の出席者全員の承諾がないとだめなので、すべての委員が承諾したという状況でその薬を承認すると」

通常1年ほどかかる作業が、今回は特例承認でおよそ2か月。なぜ早められたのでしょうか。

前崎繁文教授「(特例承認でも)プロセスとしてはそんなに省かれるものはないですよ。大体、資料が段ボールで3つくらいきますので、ページ数もかなりのページ数になるので。それを読み込んでとなる。時間的にはタイトですね、かなり」

短時間で進める「特例承認」には、“条件”があります。

厚労省が定める「特例承認」の条件は3つ。

・病気のまん延を防ぐために緊急的に必要な場合。
・このワクチン以外に適当な方法がない場合。
・日本と同等の薬事制度を持つ海外の国で、販売などがすでに認められている場合。

新型コロナの場合、感染の広がりも早く治療薬も確立されていない上に、アメリカやヨーロッパでの承認が後押しになったと前崎教授は話します。

前崎繁文教授「アメリカのデータとヨーロッパ、そして日本の3極というのは、治験データはそれぞれ信用して補てんするということが厚労省で決まっている。そのデータを持ってきて、日本で承認するという作業になると思います」

12日の厚労省の説明でも…。

厚労省の担当者「安全性につきましては、おおむね海外と同様の割合で」

海外のデータと比較して判断したと説明していました。

早ければ14日にも承認され、来週17日にも、先行する1万人の医療従事者への接種が始まるワクチン。コロナ病床で治療にあたってきた前崎教授は、医療従事者へのワクチン接種は「大きな武器」だと話します。

前崎繁文教授「それ(ワクチン接種は)はもう、かなりの進歩だと思いますし、現状で、この新型コロナに対応するのはワクチンしかないですよね。僕は医療従事者には、全てに(ワクチンを)打っていただきたい。自分自身も守れるし、医療従事者からのクラスターの発生も抑えられるかもしれない。ぜひ早めに打っていただきたい」