250円や詰め放題も 人気の激安弁当続々
飲食店の時短営業で夕食に困っている人が多い中、お弁当の店が売り上げを伸ばしています。300円で総菜を詰め放題できるお弁当など、「激安弁当」を取材しました。
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時短営業により、飲食店のあかりが消えた東京・浅草の街。午後10時過ぎですがお店の前には弁当を選ぶ人がたくさんいます。お客さんでにぎわっていたのは、駅近の弁当店。年中無休の24時間営業で、主力の弁当の価格は焼肉弁当もハンバーグ弁当もおよそ20年前から据え置きで250円。この価格とボリュームでコロナ禍でも毎日400人以上のお客さんが来店。特に午後8時から10時の客が5割増しだといいます。
30代「コンビニしかやってない中でコンビニじゃないものが食べられるのはなかなかない」
40代「自炊しなくても手軽に食べられる」
飲食店の時短営業の余波で、「夕食難民の支え」となっているのです。
30代「コロナ禍の前から来ていたんですが改めてコロナ禍でいいなあと思ってます」
そして、こちらも人気の弁当店。最大の特徴は――
味の仕事屋・野口順子店長「バイキング方式のお弁当屋さん」
60種類にも及ぶ総菜のバイキング。高野豆腐などヘルシーな総菜から、「サラミのポテサラ包み」「レバーのワイン煮」など、店独自の斬新なメニューまで。300円か500円の容器を選んで詰め放題なのです。
300円を選んだ常連客は――
40代「(Q:1人分ですか?)いや3人分です」
目的は腹を空かせた家族3人分の夕食。1人に換算すると100円です。上手に詰められるのでしょうか?完成したのは、おかずでパンパンに膨れあがった容器が。かさばる揚げ物を入れてから、小物でスキマをうめるという戦略です。
40代「通えば通うほどうまくなる。頭使って詰めれば。パズルですね本当に」
しかし、詰め過ぎは禁物。
味の仕事屋・野口店長「ダメか。開いちゃったね。350円です」
ふたが閉まらないと追加料金です。この安さのワケは――
味の仕事屋・野口店長「もうちょっとで期限が切れそうなんだけど、まだ使えるものが大量に仕入れることができる」
独自の仕入れ網です。今は、コロナ禍の影響で、学校給食用や飲食店用だった食材を入荷。食品ロスの解消にも貢献したいということです。
そして。次々と揚げられる魚のフライに、炊きたてごはん。こちらは平日でも400人以上が来店するという葛飾区の人気弁当店。その最大のウリは――
お客さん「弁当が280円。普通は考えられない」
ゆでたてパスタやシャケなど具だくさんののり弁当。ボリューミーなチキンステーキ弁当も280円均一です。
おかず屋 金町店・小坂綾佑店長「自社で問屋の部門があるので(食材を)安く仕入れられるシステムがある」
仲介業者がない分、極限まで値段を安くしているというこの店。コロナ禍の1年を通しても今月は、売り上げが特に好調だといいます。
弁当3つを購入したお客さん「(家族)3人いるんで3人分。今コロナで(外食に)出られないし、スーパーだと値段が高い」
在宅勤務中のお客さん「在宅勤務やってて昼の休憩時間が限られている。そういう時に買いに来られるのはいいですね」
お客さんがコロナ禍の生活に慣れるにつれて、弁当店の需要が増しているのです。しかし、激安弁当だけでは、お店の利益はわずか。「ある戦略」を掲げています。
おかず屋 金町店・小坂店長「(弁当は)広告費みたいなものです。とにかく色んな総菜が目に入るように並べている」
実は、インパクトある280円弁当は広告塔の役目。見やすいところに陳列した自慢の手作り総菜を追加購入してもらうことで、利益を生み出しているといいます。
おかず屋 金町店・小坂店長「弁当から入ってもらって『おいしいな』と次またハンバーグとかから揚げを買いに来ていただく」
安値を貫く弁当店が、夕食難民の心のよりどころとなっています。