“透明”なイカ「神秘的」と話題に 駿河湾
SNSに投稿された“ある生き物”の動画が、「神秘的」などと話題になっています。透明な体を持ち、本来、深海に生息しているとみられるこの生き物。どんな性質で、なぜ駿河湾で見られたのでしょうか?
■Twitterで反響を呼んだ深海に住むある生き物
Twitterに投稿され、神秘的などと話題になっている、ある“生き物”の動画。この“生き物”を捕まえたのは、都内に住む大学生のあらかわさんです。あらかわさんに、捕まえたときの経緯を聞きました。
「珍しい深海生物の観察が趣味で、深海生物が多く目撃されている駿河湾沿いの漁港を訪れていました」
今年1月、いつものように深海生物を見ようと駿河湾を訪れたという、あらかわさん。午後10時頃、ライトで海面を照らしていると、図鑑などで見覚えがある“生き物”が浮遊しているのを発見したといいます。
「見た瞬間、トウガタイカだ!本物だ!と思い、急いですくい上げました」
■神秘的な生き物「トウガタイカ」とは
「飛び出ている黒い目、2本だけが長くなっている脚など、形状の特徴からトウガタイカの子どもだと思われます」
イカなどの生態に詳しい東海大学海洋学部の佐藤成祥講師によると、あらかわさんが捕まえたのは、深海に生息するイカの一種、トウガタイカとみられるということです。また、特徴のひとつである透明な体については、外敵の捕食から身を守るために進化したのではないかと推測されるということです。
本来、深海に生息しているトウガタイカが駿河湾で捕まえられたのには、駿河湾が持つある特徴が関係しているといいます。
■珍しい生き物が見られる駿河湾
佐藤講師によると、駿河湾の水深は一番深いところで2500メートルほどあり、様々な深海生物が繁殖しているといいます。その中でも、泳ぐことが苦手で、比較的浅いところを泳いでいる一部のイカの子どもが、冬の南風で引き起こされる表層流に流されて海面まで浮上してきたのではないかということです。
このような駿河湾が持つ特徴などにより、本来見ることが難しい生き物たちの姿を見ることができるといいます。
あらかわさんは、こうした珍しい生き物の生きた姿を見てもらうことで、深海生物に興味を持ってもらえるとうれしいと話しています。