解除は…18日にも判断「問題は医療体制」
新型コロナウイルスの感染拡大にともなう緊急事態宣言は、延長された期限まで1週間を切りました。15日には千葉県で変異ウイルスクラスターが発表され、宣言を延長するのか関心が高まっています。そんななか、1都3県の知事に微妙な温度差が出てきました。
■東京の新規感染者 8日連続で前週上回る
16日、東京都で新たに新型コロナウイルスへの感染が確認されたのは300人でした。1週間前は290人でしたので、10人上回ったかたちです。15日も175人で、先週月曜日の116人から60人近く増えています。前の週を上回ったのはこれで8日連続です。
■日米首脳会談へ菅総理が接種「そんなに痛くない」
こうした中、16日午前、菅総理大臣が都内の病院で新型コロナウイルスのワクチン接種に臨みました。ファイザー社のワクチンを接種したということです。1回目の接種を終え、菅総理は次のように述べました。
「痛そうだったんですけれども、そんなに痛くもなく、いま終わった後もこのような形でスムーズに終えることができたと思っています」
医療従事者に対する先行接種が行われているいま、菅総理が16日に接種したのには理由があります。日米首脳会談です。総理が訪米して行うかたちで、現在来月9日を軸に調整されています。
実現すれば、バイデン大統領就任後初めて対面での首脳会談となりますが、菅総理は72歳、バイデン大統領は78歳とどちらも高齢で、バイデン大統領は12月に1回目、1月に2回目のワクチン接種を終えています。
菅総理は、1回目と2回目の間を3週間あけるので、訪米に間に合わせるためには今がギリギリのタイミングでした。政府関係者によると、16日は、菅総理の訪米に同行する官房副長官ら11人も接種したということです。今後は、同行する外務省の職員やSPも順次打っていくとみられます。
■宣言解除は…知事たちの足並みに乱れ?
ワクチン接種後の取材で菅総理は、21日で期限が切れる緊急事態宣言について、「(判断には)もうしばらく時間をかけたい」と述べました。政府は18日にも対策本部を開き、判断する見通しです。
そんな中、ここに来て1都3県の知事たちの足並みが少し乱れ始めています。これまで、緊急事態宣言中、感染を抑え込むために1都3県で「ワンボイス」を強調し、知事たちは足並みをそろえてきました。しかし、緊急事態宣言をめぐって15日、埼玉県の大野知事は、「少なくとも今の段階で政府に解除を要請する状況に至っていない」と厳しい見方を示しました。
一方で、神奈川県の黒岩知事は「神奈川県で見ると解除の条件は整っている。いったん解除して、その後しっかりと段階的に規制を緩和していく」と、解除に前向きな姿勢を示しました。
県によって感染状況に違いが出てきているのです。緊急事態宣言解除の目安となっている警戒レベルを見ると、15日時点で埼玉県はまだ「ステージ3相当(感染者の急増)」の数字が並んでいます。これは最も深刻な警戒レベルである「ステージ4相当」に次ぐレベルです。先週と今週を比べた新規感染者の増加比を見ても、「1」を超えて増加傾向を示しています。
一方で、神奈川県は病床の使用率こそステージ3相当ですが、他はステージ2相当まで下がっています。数字だけを見るならば、知事が言うように神奈川県は解除を要請しても不思議ではないレベルに見えます。
■田村厚労相「問題は医療提供体制」
宣言を解除するかどうかについて田村厚生労働大臣は16日、「新規感染者は十分に解除のレベル。問題は医療提供体制」と述べ、医療提供体制が安定的に「ステージ3」になるまでは解除できないとの考えを示しました。
また、政府分科会の尾身会長は、「同じことを続けるということでは、私は無理で、質的にもいろいろ変える必要がある時期に、ちょうど今いい時期に来てると思います」と述べました。仮に宣言が解除されても、その後の対策を強化すべきという考えを示したものです。
■変異ウイルスの拡大に懸念…「昼カラ」でクラスター
慎重にならざるを得ない理由の一つに「変異ウイルス」の広がりがあります。15日、千葉県は「変異ウイルス」によるカラオケクラスターが発生したと発表しました。
これまでに感染が判明したのは17人で、うち12人が県内のカラオケスタジオの利用者と従業員で60代から80代。残りの5人は利用者の家族だということです。
このスタジオでは酒類の提供はなく、いわゆる「昼カラ」です。しかし、歌う際のマスク、マイクの消毒、店内の換気は不十分だったことから、感染が広がったとみられるということです。変異ウイルスによる大きなクラスターで、今後の広がりが心配されます。
千葉県の森田知事は、「カラオケで歌うときもマスクを着用し、マイクの消毒を徹底してほしい」と呼びかけました。
カラオケは「3密」かつ「歌声」で、感染しやすい条件がそろっているのは確かです。マイクは使い回さず1人1本にしたり、歌と歌の間に換気をしたりしている店もありますので、そういった対策も必要かもしれません。感染には気をつけて楽しんで頂ければと思います。
(2021年3月16日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)