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【解説】「屋外でのマスク原則不要」東京都医師会が言及 新たに創設“日本版CDC”とは?

2022年6月15日 21:32
【解説】「屋外でのマスク原則不要」東京都医師会が言及 新たに創設“日本版CDC”とは?

東京都で14日、新型コロナウイルスの重症者数が初めて0人になりました。対策もまた新たな段階に入りつつあります。「世界的にも“減少”」、「黙食・マスクどうする」、「“日本版CDC”創設へ」、以上の3つのポイントについて詳しく解説します。

■東京都の重症者数、初の0人

14日、東京都の新型コロナウイルス重症者数は13日から4人減少し、ついに0人となりました。実は、都が独自の基準で重症者の集計を開始して以来、初めてのゼロということになります。最多の重症者数は、2021年8月28日の297人でした。その後、減少し、何度か重症者数が1人になったことはあったものの、集計開始以来、約2年でゼロとなりました。

こうした傾向は、日本に限ったことではありません。14日、WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長は、次のように述べました。

WHO テドロス事務局長
「新型コロナの感染者数と死亡者数は、世界的な減少が続いています。いずれも今年初めのピークから、90%以上減少している。非常に喜ばしい傾向です」

■福岡市“黙食”見直し「大声でなければ会話可能」 

こうした中、これまでよりも一歩踏み込んだ対策・提案が出てきました。

福岡市では、学校で給食時間の“黙食”が見直されました。これまで、福岡市の小中学校では、給食の食事中は「会話を控える」という指導を続けてきました。しかし、市の教育委員会は13日、これからは給食中も「大声でなければ会話は可能」と通知しました。

理由としては「感染状況が落ち着いてきたこと」、「食育の観点からも友だちと楽しく食事することも踏まえた」ということです。ただし、「いただきます」、「ごちそうさま」のあいさつは一斉に声を出すため、「感染リスクが高い」として、マスク着用を続けるということです。

子どもの感染症に詳しい長崎大学・小児科学の森内浩幸教授は、次のように述べました。

長崎大学・小児科学 森内浩幸教授
「子どもだけいつまでたっても厳しいままでおくっていうのは理不尽。当然、見直しは考えるべきだと思います。『もう解禁だから、大声でしゃべりながら食べていいよ』と一気にいくのではなくて、今はちょっとでもおしゃべりしたら、先生から叱られてしまう。そこはもう緩めていいですよ」

■“屋外でのマスク原則不要” 東京都医師会「同調圧力はもう無くそう」

では、大人も含めて、マスクは今後どうなっていくのでしょうか?

14日、東京都医師会は、「屋外でのマスク着用は原則不要」という考え方を示しました。

現在、国の指針では、距離が確保でき、会話をほとんどしない場合は屋外でのマスクは不要としています。そして、熱中症予防の観点から、夏場はマスクを外すことを推奨しています。

東京都医師会は、屋外はそもそも換気が良いため、これをきっかけに暑さに関係なく「ずっと外していい」としています。ただ、屋外の飲み会やバーベキューなど、至近距離でしゃべったり、食べたりする特殊なケースでは気をつけてほしいとしています。

一方、「外したくない」という人もいるため、「お互いを尊重しあって、少なくとも“同調圧力”はもう無くそう」と呼びかけています。

■“日本版CDC”創設へ 政府による抜本的強化策とは?

こうした中、政府がアメリカ・CDC(疾病対策センター)のような組織、いわゆる「日本版CDC」を創設するという話が出てきました。15日夕方にも、岸田首相が表明する見通しです。

これは今後、訪れるかもしれない“次の感染症の危機”に備えるというものです。新たに判明した政府による抜本的強化策の案の中では、3つの新たな組織を作るということです。

1つ目の組織は「内閣感染症危機管理庁」です。首相直轄の司令塔として、一元的な対応にあたります。

2つ目の組織は厚生労働省内におかれる「感染症対策部」です。厚生労働省にある複数の部署を統合した組織になるということです。

3つ目の組織は「日本版CDC」です。これまで新型コロナの知見や治療法などを集め研究してきた「国立感染症研究所」と「国立国際医療研究センター」を1つにして、新たな専門家組織の拠点をつくるという案です。

■“WHOをしのぐ巨大組織”CDCとは?

本家のアメリカ・CDCのスタッフ数は2万人以上、年間予算は約1兆円と、WHO(世界保健機関)をはるかにしのぐ巨大組織です。CDCトップである所長は大統領が直接指名するシステムです。

世界60か国以上に拠点があり、アメリカだけでなく世界中の人々の命を救うことを使命に、24時間態勢で最先端の研究・予防法の指導などを行っています。

CDCの最大の特徴の1つは、全米200か所以上のラボ(研究所)と提携していて、常に最新のデータを吸い上げていることです。それを元に、マスク着用の是非など国民に対して、ガイドラインを示す役割を担っています。新型コロナの検査、ワクチン、治療薬なども最終的にCDCの承認が必要です。つまり、感染症に関するルール、意思決定を一元的に担っている巨大な組織です。

「日本版CDC」は新たにできる3つの組織のうちの1つで、感染症研究所の職員は約930人です。アメリカと比べれば、人員・予算ともに少なく、どこまで感染症対策をリードできるのか、15日時点では未知数です。

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政府には単なる組織替えに終わるのではなく、いざという時に、いち早く効果的な対策が打てる組織を作るという大変重い責任があります。

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