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週休3日制検討の動き 意外なデメリットも

2021年4月6日 20:23
週休3日制検討の動き 意外なデメリットも

今回のテーマは『週休3日制』です。希望すれば週に3日休みをとれる制度について、国が導入を検討する動きがあります。本当に実現性はあるのか、メリット・デメリットを含めて解説します。

■希望すれば週休3日に?

5日、加藤官房長官は次のように述べました。

「育児、介護、闘病など生活と仕事の両立を図る観点からも、多様な働き方を推進することは重要であり、その一つとして『週休3日制』も考えると認識しております。政府としてどういうことができるのか検討していきたい」

この週休3日制については、2月から自民党で本格的に推進しようと検討が進められていて、今月中に提言をまとめる予定になっています。加藤官房長官はこの提言を踏まえ、政府としても検討する考えを示しました。

週休3日制導入の狙いについて、自民党案では、育児・介護などの時間を確保することや、休みを活用して地方での兼業も可能になることから地域活性化につながるのではないかという点が示されています。地方での兼業については、政府が交通費や滞在費を支援する案も出ています。

オランダなどでは週休3日制がうまく浸透していますが、日本での導入は進むのか、街の声を聞いてみました。

50代会社員「収入が減らなければいいかな。時間の使い方がいろいろ自由になるので」

30代主婦「(夫の)仕事の負担が増えたり給料が減ったりするなら、(週休)2日がいいかも」

30代会社員「子供がいるので、休みが増えると面倒みられるからうれしい。(Q:夫が週休3日だったら?)主人には働いていてほしいですね」

実は、すでに週休3日を進めている企業もあります。全国およそ4000社のうち、週休2日制は82.5%であるのに対し、週に3日以上の休みがある企業は8.3%となっています。

■“週休3日”導入企業はこんな会社

どのような会社が週休3日を実現できているのか、例を見ていきます。

【みずほフィナンシャルグループ】
去年12月から、希望すれば週休3日や4日にできる制度を導入。基本給は週休3日の場合80%、4日の場合は60%程度。みずほでは2019年から『副業』を認めているので、給与が下がった分は副業で補填できる仕組み。

【リクルート】
人材派遣などを行う企業。リクルートは休みが増えても給与は変わらない仕組みになっている。今月1日に導入された制度で、1年間に取得できる休日の日数を増やし、145日と設定している。週休3日制ではないが、平均すると週休約3日に。休みが増えた分、一日あたりの労働時間を30分増やして8時間に変更した。年単位でみると働く時間は変わらないので、給与も変わらない。導入して間もないが、社員にはおおむね好評だという。

【エンカレッジ・テクノロジ】
システム開発などを手がける企業。エンカレッジ・テクノロジも給与が変わらない仕組み。週休3日や半日勤務を組み合わせた働き方を、社員個人が月単位で決めて申請する制度。1か月単位の労働時間を変えないように設定することで給与も変わらない。

■週休3日制のメリット・デメリット

会社の組織に詳しい同志社大学政策学部の太田肇教授に、週休3日制のメリット・デメリットについて聞きました。

【メリット】
(1)『副業』が本格的に
最近、社員の副業を認める企業が増えているが、会社の許可を得て休みの日に限定的に行っている。週休3日になって、例えば給与が2割程度削減されるなら、堂々と副業ができる。起業したり、自営業のように働いたりする人が増えてくると思われる。

(2)定年後のセカンドキャリアの先取り
特に中高年は定年後にやりたいことがあっても、実際に定年後に始めてみると、体力や経験不足でうまくいかないことがある。週休3日制を活用すれば、定年を待たずに夢が実現できる可能性があり、定年後もその流れを途切れさせずに継続できる。

(3)どこに住んでいても働ける
週休3日だと、例えば、木曜日の夜から金土日…さらに月曜日の朝まで会社から離れた場所に住むことが可能になる。住める範囲が大きく広がる。

【デメリット】
(1)給与カットになる恐れ
給与の減少分を副業で稼げる人は一握り。選択制といっても、新型コロナで人件費を削りたい会社から週休3日制への移行を迫られてやったものの、仕事がないケースも。

(2)フリーランスの仕事を奪う
「本業で得た知識や能力を借りられるならフリーランスに発注するより得だ」という見方になると、フリーランスの仕事を奪うことにもつながる。

会社側にとってみても、外の世界に出ていく社員が増えていくため、そこにも溝ができたり、週休2日と3日で社員の間にも溝ができて、一体感が損なわれる懸念もあります。

一方、日本経済全体でみた場合、休みで時間が増え、趣味や余暇で消費が活発になると、お金が回るなどのメリットも考えられます。

    ◇

週休3日制について調べてみると、週休2日とは大きな違いがあって、導入すれば社会や経済全体にも大きなインパクトがありそうです。ただ、男性の育休取得など日本の働き方にはまだまだ見直すべき点が多いとも思います。

長い間に根付いた日本の組織や企業文化、働き方への固定観念が変わっていかなければ、絵に描いた餅で終わってしまいます。幅広く議論をして、多様な働き方へ前進していければいいと思います。

(2021年4月6日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)

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