物価高に苦しむ「子ども食堂」政治に求めるコト
日曜日に迫った衆院選の争点の一つが物価高です。こちら、子どもたちに無料で食事を提供する子ども食堂も食材の値上がりで厳しい運営を強いられています。選挙を前に、政治にどんなことを求めるのか、取材しました。(10月21日放送『news zero』より)
◇ ◇ ◇
お邪魔したのは東京・板橋区にある子ども食堂。
○櫻井
「失礼します。お世話になります。」
マンションの一室を借りているこちらでは、月曜日を除き毎日、子どもは無料のお弁当を、夕方から提供。
週に1度、木曜日は食堂として開放し、子どもたちに夕食を出しています。
午後2時、すでにその仕込みが始まっていました。
○櫻井
「まだ2時ですけど、結構…」
○まいにちおいで子ども食堂 木崎 美和子 副理事長
「なんせ50人分だから。大体うちは毎日50人」
○櫻井
「こうした食材は、どうやって調達?」
○木崎さん
「買ってるものもあります。このじゃがいもは、個人で農園みたいなのをやっている人が寄付してくれます」
○櫻井
「実際、物価が上がってることの影響は感じますか?」
○木崎さん
「あります。肉の質下げたり、バラ肉買ってたのをコマ切れ肉に代えたり」
食費や食材は一般からの寄付に支えられ、作業は日替わりのボランティアスタッフが行っています。
○まいにちおいで子ども食堂 武井 重雄 理事長
「まいにちおいで子ども食堂ですが…」
食事・お弁当は予約制で、1週間先まで常にいっぱいの状態。
○武井さん
「(利用者は)必要としてる方が多い。徐々に増えているという印象」
○櫻井
「利用される方は、やはりお子さんが中心?」
○武井さん
「制限は設けていない。通勤で疲れちゃって、作るのが辛い(大人)とか(が来る)」
♪ ピンポ~ン
スタッフ
「どうぞ~」
学校を終えた子どもたちが遊びにき始めた午後3時すぎ。キッチンでお弁当と食事の準備を手伝わせてもらいました。
この日のメインは鶏の手羽先の煮物。お弁当・食事は同じメニューで、これにご飯とお味噌汁がつきます。
担当したのは、大根サラダの盛り付けです。
○櫻井
「どれくらい入れたらいいんだろう。まぁ、こんなもんか」
○ボランティア 高校3年生
「もうちょっとだけ多め」
○櫻井
「足りなかった?」
教えてくれたのは、毎週手伝っているという高校3年生のボランティアスタッフ。
○櫻井
「いつ頃まで続けよう、とかあるの?」
○ボランティア 高校3年生
「大学入っても続けようかなと考えていて、自分の今の夢が管理栄養士なんですけど、“食”で人を救いたいなと思っていて、子ども食堂も人を救うことにつながるから、ボランティアしてみたいなと思ってやってます」
○ボランティア 高校3年生
「こっち!こっち!下!下!」
○櫻井
「こっち?完全にバイトの先輩と後輩…」
そして午後5時半。食事をする子どもたちが集まり始めました。
○櫻井
「ここで遊ぶの楽しい?」
○子ども
「うん」
○櫻井
「ご飯は?おいしい?」
○子ども
「うん…」
○櫻井
「……今じゃなさそうだな」
学校や学年も違う子どもたちが、週に1度、この子ども食堂での夕食を楽しみにしています。
一方、子どもと自分のお弁当を受け取りにやって来た保育士の女性は…
○櫻井
「どういったきっかけで利用?」
○弁当の受け取り 40代保育士
「仕事が忙しくて、ご飯つくるの大変で、ここだと栄養バランスがすごく良くて子供も大好きなので」
○櫻井
「日々の生活で物価高の影響を感じる?」
○弁当の受け取り 40代保育士
「感じます。お弁当作るにしても、冷凍食品もどんどん値上がりしていて、調味料買っても量が少なくて、なのにお給料が上がるわけじゃないので」
そんな中、取材中…30キロのお米が届きました。
○ディレクター
「これは?」
○木崎さん
「寄付です。どなただか見ます。知らない人だ」
○櫻井
「全然面識のない方?」
○木崎さん
「はい」
時々、こうしたお米や野菜を寄付してくれる方がいると言います。
○木崎さん
「こういう感じで助かっちゃうんですよね。」
○武井さん
「非常にありがたいことです」
○ディレクター
「寄付がなくなると…」
○武井さん
「厳しいです。なんとかギリギリでやってる感じですけど、今年度が金銭的には一番厳しいかなと。物価高騰なんで。」
食材費は今、去年と比べ1.5倍ほどに。公的補助はあるものの、細かい手続きが必要なため、人手もない中、今年は申請をあきらめていると言います。
○櫻井さん
「今度の選挙で期待することは?」
○木崎さん
「弱い人が守られる政治にしてほしいし、今ここに来てる人は弱い人たち。本当に弱い人たち。その人たちにプラスになるようにして欲しい。」
(10月21日放送『news zero』より)