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コメの品薄、いつ解消?「新米」収穫順調も価格は上昇 “コメ離れ”懸念も…

2024年9月4日 21:43
コメの品薄、いつ解消?「新米」収穫順調も価格は上昇 “コメ離れ”懸念も…

「新米」の収穫が始まっています。コメの品薄が続くなか、待ち望んでいる人もいると思いますが、新米が入荷し始めた店では軒並み価格が上がり、去年の倍だという店もありました。

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「コメの品薄」。街の人に聞いてみると…

「きょうおコメ買う気ないけど、あったら買っちゃうかも」
「10キロ買っとけばよかった。いつも5キロだから」

4児の母
「とりあえず5キロのストックあったので、それを使いつつ、次(コメが)出てくるときまで冷凍チャーハンとか麺類でしのごうかな」

中華料理店を経営している男性は、最近、お客にある傾向があるといいます。

中華料理店を経営
「ご飯おかわり自由にしているので、最近はおかわりせずに帰ってくれている感じはあるので…」

客側の気遣いでしょうか。「ご飯おかわり自由」の店の悩み。

東京・渋谷にある飲食店「挽肉と米」で提供されているのは、店内で挽いた牛肉100%のハンバーグ。そのハンバーグを引き立てるのは「羽釜」でふっくら炊きあげた「白米」です。「日本のおいしいお米を扱おう」というコンセプトで、おかわりは無料。様々な産地のコメを仕入れ、店で出す分は確保できていると話しますが…

挽肉と米 山本昇平代表
「(使用するコメが)40%程度一気に値上がり、僕らとしてはびっくり」

おかわり無料のなか、店には苦しいコメの値上がり。

挽肉と米 山本昇平代表
「お客様に買っていただくお値段に反映させなければいけないので」

メニューの「値上げ」も検討せざるを得ない状況です。

一方、都内のスーパー。売り場へ運んできたのは5キロの米袋です。

マルヤス運営会社 共同代表・松井順子さん
「きょうは7袋です。(在庫は)もうこれだけです。次はもう1週間後くらい」

そんな数少ない在庫。そこへコメを探し求めてきた客が…

コメを買いに来た人
「いつも行ってるお店になかったので、たまたま来た店で。もうないので買えればいい」

コメの品薄が続くなか、このスーパーでは新たな策に打って出ました。

マルヤス運営会社 共同代表・松井隆さん
「今年の出来はどうですか?」

佐藤ファーム 佐藤雄樹代表取締役
「今年、秋田はいいと思います」

話し合いの相手は、農家直送でコメを販売する会社です。品薄のなか、なんとか新米を確保しようと、農家により近い新たな仕入れ先と契約したのです。

マルヤス運営会社 共同代表・松井隆さん
「安定供給というのはこれから大事」

新米に寄せる、品薄解消の期待。

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そんな新米の収穫が続く、コメの産地を訪ねました。千葉県の農業法人では、8月から新米の収穫を開始しています。

栄営農組合・代表理事 伊藤秀雄さん
「今だいたい3分の2程度、収穫が終了したところ。(収穫量は)例年並みかな」

今のところ、高温や台風による収穫への大きな影響はみられないといいます。

取引のある小売店からはこんな連絡も…

栄営農組合代表理事 伊藤秀雄さん
「『売るコメがねぇ』って、『急いで持ってきてくれ』って言われて、今日積んでいったよ。新米だよ」

高まる新米のニーズ。JAの倉庫に行ってみると…

JAちばみどり営農センターそうさ 佐藤安彦次長
「こちらが令和6年産の新米になってます」

約1500トン収容できる倉庫は、9月中にはいっぱいになる見通しだといいます。今年は、こんな変化も…

JAちばみどり販売部 姥山正勝次長
「何年も前にお付き合いした業者から、“おコメ不足”と言われてる中で『少しでもないかな?』とお声掛けをいただいて」

コメを仕入れたい業者からの問い合わせが相次いだといいます。出荷が本格化している新米。その価格にも変化が…

JAちばみどり販売部 姥山正勝次長
「買い上げ単価が今は高いので」

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では、実際に流通し始めた新米の価格は? 関東のスーパーや道の駅を取材しました。

まずはスーパー。4社に聞いたところ、5キロの販売価格は、すべての店で去年より値上がりし、2倍に高騰したところもありました。さらに、茨城県の道の駅でも去年より4割ほど高い、約3500円。都内のおコメ専門店では、千葉県産の新米が5キロ、2800円でしたが、これも去年より900円アップしていました。

また「品薄が落ち着くのはいつ?」との質問には、「10月中旬まで続く」「9月半ばには落ち着く」とバラツキもみられました。

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こうしたなか、4日には農林水産省で生産者や卸売業者も参加した会議が開かれました。コメの品薄解消へ向けて、新米の流通が円滑に行われるよう、各分野で連携する必要性を確認。また、価格の高騰に関しては、生産者側からは「生産コストの上昇に見合った適正価格に近づいている」との声が上がった一方、卸売業者からは「このまま高値が続くとコメ離れを招く」と懸念する意見も出ました。

出席した卸売業者からは…

木徳神糧 米穀事業本部 今野稔副本部長
「それ(高値)がずっとひとり歩きしてしまえば、消費者が買える価格ではなくなってしまうので、もう少し下がった価格でないと(買い切れない)」

会議では今後、新米の流通が本格化すれば、品薄も価格高騰も徐々に落ち着いてくるとの見通しも示されました。