ワクチン接種“担い手”どうする?薬剤師も
ワクチンについて、菅首相は9月までに日本のすべての対象者分を確保するとしていますが、接種の担い手をどう確保するのか各地で模索が続いています。
23日、条件付きで歯科医師が接種することが認められるなど、スムーズな接種を進めるうえで、医療従事者の確保が課題の一つとなっています。
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東京・三鷹市でワクチン接種にあたる予定の医師・古川秋生先生。普段は内科クリニックを営むいわゆる開業医です。先生のクリニックには毎日、近隣の高齢者がひっきりなしに訪れます。この日も話題になるのはやはりワクチンの話です。
患者「(接種は)こちらで受けられるんですか?」
先生「どっちがいいですか」
患者「もちろんこちらで受けた方が安心ですね」
先生「いつも通ってるからね」
三鷹市内の65歳以上の高齢者はおよそ4万人。集団接種は来月20日以降に始まる予定です。この日、古川先生は看護師に、集団接種会場に入れる日程を確認していました。
先生「(接種会場に)来られるようだったら木曜・土曜・日曜で、時間ある時に手伝ってもらいたいなと思うんですけどどうですか」
看護師「日曜日のどっちかで」
先生自身も、月曜から土曜までの通常診療のほか、地元企業の産業医の業務や市のPCR検査センターでの業務も抱えていて、スケジュールを調整しないといけません。
三鷹市は、開業医が参加しやすいよう集団接種の日程をクリニックなどの休診日が多い木曜日と土日に設定しています。クリニックが休みの日に集団接種会場に入るため、先生のスケジュールはほぼ埋まってしまうことに…。
Q「(休みの日に)家族の都合は?」
内科医・古川秋生医師「ありますけど5月6月はなるべくワクチン優先で」
さらに、これに加えて、先生のクリニックでは個別接種も行いますが、その開始時期は未定。先の予定が立てられない状態が続いています。
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一方、東京・練馬区では…。薬剤師の佐谷怜子先生。父の代から練馬区で薬局を開き、地元の人から頼られる存在です。
ワクチン接種の人手不足を解消するため、練馬区は薬剤師に協力を依頼。解凍されたワクチンの希釈や注射器への充填(じゅうてん)など、看護師が行うことが多い作業、薬剤師も担うことにしました。
ただ普段、薬局ではワクチンを取り扱わないだけに、佐谷先生は…。
薬剤師・佐谷怜子さん「私自身は在宅業務で注射器を扱っていないので久しぶり」
事前の入念な練習が必要だと感じていました。そんな先生のもとに先週届いたのはワクチンの研修キットです。実際に練習してみますが…。
薬剤師・佐谷怜子さん「間違えちゃった。やり直してもいいですか」「(Q何を間違えた?)(希釈する)量を間違えちゃった。懐かしさと怖さと久しぶりのドキドキ感と」
戸惑いながらも練習を重ね…。
薬剤師・佐谷怜子さん「これで実際にお医者さんが打ってくれる形になるんですけど、まだまだ練習しないとダメですね」
本番まであと1か月あまり。
薬剤師・佐谷怜子さん「いち医療関係者としてできるところはやっていきたいと思います」
接種を担う医療従事者や、自治体の模索が続きます。