献金の求め方・救済対象……2世信者が“訴え” 救済法案と被害“かい離”
23日、「世界平和統一家庭連合」いわゆる“統一教会”の問題をめぐり、2世信者が会見を開き、政府が検討する「被害者救済新法案」では「高額献金による被害者は救済されない」と訴えました。なぜ、法案と実際の被害が“かい離”したのでしょうか。
■「自宅売って献金」だけでなく…
有働由美子キャスター
「Vチューバー姿で参加された方もいますが、いわゆる“統一教会”信者の子ども、2世信者の皆さんが23日に会見を開きました。家族や教団に身元が特定されるリスクがある中、『今、検討されている法案では、高額献金による被害者は救済されない』と勇気を持って訴えました。どういうことでしょうか」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「まず、2世信者の皆さんが訴えたことですが、“献金の求め方”について」
「被害者救済の新たな法案では『地獄に落ちる』など、『霊感によって、不安をあおることを禁止する』としていますが、実際には『天のお父様へのプレゼントだ』などとして、前向きな言葉で使命感を引き起こして、献金させることがあるとして、『“不安をあおる”など言葉を限定すべきではない』と訴えています」
「次に、“献金の元手になるお金”について」
「法案では、例えば『自宅を売ったりしてまで、寄付を要求することを禁止する』としていますが、実際には『田んぼですとか、畑などを売って、お金を作らせることもある』ということです」
「そして、“被害救済の対象”について」
「法案では『信者・個人から教団に対する寄付を被害救済の対象』としていますが、実際は複数の信者を介して、教団にお金が流れることもあるなど、献金の方法というのは、複雑かつ巧妙になっていますので、『救済の対象を狭めないでほしい』というふうに訴えています」
■与野党では意見の違い・隔たり
有働キャスター
「法案と実際の被害の“かい離”、どう考えますか?」
辻愛沙子・クリエイティブディレクター(『news zero』パートナー)
「献金をした本人は『自分の意思で献金した』とその時は思っていても、後々、『あれは強制的だったな』とハッと気づくみたいなこともあると思うのですね」
「なので、クーリングオフのように時間がたっていても、アクションを起こせたり、あとは2次被害を受けている家族だったり、周りの方からも声を上げられる仕組みが大事なのではないかなと思います」
有働キャスター
「この法案ですけど、今回の国会では、どのようにうまくまとめていくのでしょうか」
小栗解説委員
「とにかく被害者の救済につなげるために、与野党ともに『今の臨時国会で、成立させることが大事だ』という点では一致しています。ただ、法案の内容をめぐって、与野党では意見の違い・隔たりが大きく、国会の会期が12月10日と迫っていますので、自民党幹部からは『日程も窮屈だし、与野党党首会談を開いて、合意するしかないのでは』という声も聞かれます」
有働キャスター
「これは“救済法案”ですので、人生や家庭が崩壊するような寄付を強いられた方々を救えるのかどうか。それから、これ以上の被害を出さない設計になっているのか。スピードも中身も、しっかり見守らないといけません」
(11月23日放送『news zero』より)