往診で酸素投与も…病床ひっ迫で自宅療養は
新型コロナウイルスのワクチン接種が急がれる中、気がかりなのは自宅療養です。救急往診を行う「ファストドクター」が大阪府に住む高齢夫婦のもとに駆けつけると、妻の酸素飽和度が低下し、緊急搬送される事態に。
■往診時「酸素飽和度」低下で…
大阪府内で自宅療養する、80代の新型コロナウイルスの男性患者のもとへ、夜間や休日に救急往診を行う「ファストドクター」が駆けつけました。
医師
「肺の音は、お父さんはそこまで悪くはないね」
男性
「うん」
男性は70代の妻と2人で暮らしていて、妻も男性の数日後に陽性と判定されました。妻は「動いたら、もう息が」「息が苦しい」と訴えました。血液中の酸素飽和度は、酸素投与が必要と判断される93%前後を行ったり来たりしていました。
診察した医師は「聴診上で、少し肺炎を疑うような音がするんですよ、息を吸った時に。だから私から、保健所の方には『入院を推奨する』というのはお伝えさせてもらいます」と話しました。
そして、今飲んでいる薬を確認していた時に、酸素飽和度に変化が起きました。
医師
「90になってしまった」
「87、いった」
酸素投与の対象となる93%を下回りました。すぐさま酸素濃縮器を設置し、投与を始めました。
■入院打診も「直接受けられない」
看護師
「どうですか?ちょっと楽になってきました?」
妻
「うん…。ちょっと、心なしか」
医師は妻が以前にかかっていた病院に電話しました。「コロナ、すでに陽性になっている方なんですが、そちらにかかりつけ…。『直接は受けられない』と。分かりました。じゃあ、待っていただくような形にします」と言って電話を切りました。
入院を断られ、医師は「もう全然だめ」とため息をつきました。続いて、保健所などにも電話しました。
看護師
「先生が頑張って交渉していただけたので、大学病院で診てもらえます」
■往診時「重症化」のケース増も
ほどなくして救急車が到着しました。妻は病院に搬送されていき、医師は「ああ、よかった」と胸をなでおろしました。
ファストドクター代表・菊池亮医師
「病床がひっ迫してくると、適切なタイミングで入院ができずに、治療の遅れにつながることになります。そうすると、自宅からの救急搬送が増えたり、往診時に重症化している患者さんに出会ったり、そういった状況が増えてくるのかなと(思います)」
(5月17日『news zero』より)