雨や台風後に呼吸が苦しく…「雷雨ぜんそく」に秋はご注意 症状ない人も突然発症? 【#みんなのギモン】
12日のギモンは「9月は注意? 雷雨ぜんそく」です。
台風が過ぎた後や豪雨の後、医療機関ではぜんそくの患者が増える傾向があるといいます。
9月は雨の季節。札幌では12日、雷が鳴り響き、局地的な大雨となりました。北日本や東日本では、夜遅くまで大気の状態が不安定となるため注意が必要です。
さらに9月といえば台風シーズン本番です。去年9月のカレンダー「台風が発生していた日」をみてみると、7日と21日をのぞき、ほとんどの期間で台風が存在していました。
去年は特別多かったというのもありますが、今年は今のところまだ1つで、今後どうなるかわかりません。しかし今、注意したいことがあります。それがポイントです。
◇台風のあとになぜ ぜんそく?
◇突然発症も…どう防ぐ?
まずは、中国での“騒動”についてです。今月になってぜんそく患者が急増し、大変なことになっています。
中国メディアによると中国北部・内モンゴル自治区のフフホトにある病院では、大雨の翌日にぜんそく患者で長い行列ができていました。
ぜんそくで息苦しさを訴えた患者が大勢いて、中国メディアによると市の衛生健康委員会は「雷雨ぜんそく患者が多く受診した」と話しています。テレビでは雷雨ぜんそくについての解説も放送されていました。
これは中国だけのことではなく、日本のクリニックの医師からもこんな声が聞かれました。アレルギー専門医のおやなぎアレルギークリニック・小柳貴人医師によると、「古くから、台風通過の翌日にはぜんそく患者が増えるといわれてきた。9月以降、台風やゲリラ雷雨も増えるため、雷雨ぜんそくに注意が必要だ」といいます。
■ぜんそくの原因は「ダニ」や「ウイルス感染」 雷雨ぜんそくの場合は…
まずは、なぜぜんそくが起きるのかをみていきます。そもそもぜんそくというのは、アレルギー反応などで気管支の炎症が慢性化してしまって気道が狭くなり、ゼーゼーと呼吸が苦しくなる病気です。
ぜんそくを引き起こす要因となるのが「ダニ」や「ウイルス感染」などですが、雷雨ぜんそくの場合は、原因とされているのが「花粉」です。
どういうことかというと、小柳医師によると、明確な理由ははっきり解明されていないものの、こんな説があるといいます。花粉は粒子が大きいため、吸い込んだとしても普通は目や鼻、のどの粘膜に付着し、花粉症の発症でとどまることがほとんどだといいます。
しかし、雷雨などで舞い上がった花粉は水を含むと膨張します。そして、破裂して粉々になってしまいます。このような小さくなった花粉の粒子を吸い込んで気管支まで入ってしまうことが、雷雨ぜんそくの一因となるのではないかと話していました。
中国のフフホトの街ではススキが多いので、毎年春と秋には鼻炎やぜんそくの患者が多くなるそうです。今回は2日の大雨で花粉が粉砕され、雷雨ぜんそく患者が続出したとみられます。
過去には死者が出たケースもあります。BBCによると2016年、オーストラリアのメルボルンでは大雨の後、雷雨ぜんそくの症状で8000人以上が病院を受診して8人が死亡したといいます。
原因は「イネ科の植物の花粉」だといいます。雷雨で細かく砕けて肺に入ったものとみられています。メカニズムがはっきり解明されたわけではないですが、海外の事例からこのように分析されています。
■雷雨の翌日は不要な外出を控えて 秋はイネ科に注意
次のポイント「突然発症も…どう防ぐ?」をみていきます。
日本では春のスギ花粉でつらい思いをする人が多いです小柳医師によると、「秋に花粉症になる人もいるので、雷雨ぜんそくに特に注意」というふうに話していました。というのも、「海外の雷雨ぜんそくの報告では、ほとんどがイネ科の花粉が原因だった」といいます。
イネ科の花粉は秋に飛ぶものも多いです。特に秋の花粉症のある人は、これからの季節は「サージカルマスクなどをつけて花粉を吸い込む量をある程度おさえる」、そして「雷雨の翌日は不要な外出を控えることが大切だ」ということです。
さらに、花粉症じゃない人も油断できないことがあります。
呼吸器内科医の倉原優医師によると「アレルゲンが気道の奥まで入り込んでしまうと、これまでぜんそく持ちではない人もしんどい発作が出てしまうことがある」といいます。
雷雨ぜんそくで救急受診した人のうち、これまでぜんそくと診断されなかった人は「3~5割」というデータもあります。花粉などを吸い込まないために、マスクなどをつけることが大事です。
実は、ダニというのは夏場に繁殖します。そして9月から10月に寿命を迎えます。つまり、団には、これからダニの死骸がいっぱいということになります。
気管支ぜんそくの原因のほとんどはダニの死骸です。だからこそ、寝具の手入れをしっかりすることが大切です。
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ぜんそくは、最悪呼吸困難などになって死に至ることもあります。台風などが多いこの季節は、特に注意して自分の身を守りましょう。
(2023年9月12日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
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