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階段崩落 元社員が証言「いずれ大事故に」

2021年5月20日 12:28
階段崩落 元社員が証言「いずれ大事故に」

東京都八王子市のアパートで階段が崩落し女性が亡くなった事故で、施工した「則武地所」の元社員が、会社への不信感から取材に応じました。「いずれ大事故に」という不安が現実のものとなってしまいました。品質と安全を無視した、ずさんな実態とは―。

■外壁にひび、階段はボロボロ…

神奈川県相模原市の建築工事会社「則武地所」。この会社が施工した物件の写真を見ると、8年前に建てられた東京都八王子市のアパートの外壁にはひびが入り、7年前に完成した神奈川県伊勢原市のアパートの階段は、木が腐っているようでボロボロです。

この則武地所が建てた八王子市の築8年のアパートでは4月、外階段が崩落する事故が発生しました。夫と暮らす3階の部屋に帰ろうとした大手里美さん(58)が落下し、亡くなりました。事故は、階段の一部に使われていた木が腐食して起きたとみられます。

■元上司「引き渡せば関係ない」

則武地所の元社員の男性が、取材に応じました。事故が起きたアパートの施工には関わっていませんが、日常的に行われていたずさんな施工の実態を語りました。

元社員
「『早く仕上げる』がメインだったので、品質とかを無視した施工でしたね。(階段の)溶接だったり、ところどころしか溶接をつけませんでした。木材が濡れていても関係なしに防水をかけたり、そういうことは目にしたことがありますね」

会社への不信感などから取材に応じたといいます。

「古い物件に補修に行った時には、階段が錆びていたり、防水(の効果)が切れていたり、そういうのを見た時には、いつか落ちるんだろうな、というのは感じました。『いずれ大事故になるだろう』という話はしていました」

さらに、ある物件で階段の異常に気付いた際、元上司からは「物件を引き渡せばこっちとしては関係ない」と言われたといいます。

■アパート住人「正直怖い」

代理人弁護士によると、則武地所が手がけ、階段などの腐食や劣化が確認されたアパートは57棟にのぼります。

国土交通省が階段の腐食を確認したアパートの住人に、話を聞きました。

「怖いっちゃ怖いです。階段に穴が開いていたらしいですが、全然気付かなかったので。アパートが建ってからそんな(年月)たっていないので、そんなすぐ壊れるはずはないので、正直怖いですよね」

責任を果たそうとしないまま、則武地所は13日、破産申請をしました。警視庁は、業務上過失致死の疑いで事故原因の捜査を続けています。

(5月19日『news zero』より)

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