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小学生らが感謝のメッセージ 地元の思い

2021年6月6日 20:54
小学生らが感謝のメッセージ 地元の思い

少子化や人口減少などにより空き校舎になった小学校の校庭を活用し、医療従事者へ感謝の気持ちを伝えるイベントが行われました。そこには地域が抱える深刻な人口減少問題とそれを打破しようとする思いがありました。

■空き校舎活用し小学生ら50人でイベント

千葉県君津市にある清和地区。5日、空き校舎となった校庭に地元の小学生らおよそ50人が集まり、保護者らと一緒にキャンドルを順番に並べ、イベントの準備を行っていました。

■キャンドルで灯す「せいわからありがとう」

日が落ちてキャンドルに火が灯され浮かび上がった文字は「せいわからありがとう」。街自体の明かりが少ないため、上空からも文字がくっきりと見えます。この「ありがとう」はコロナ禍で奮闘し続ける医療従事者に向けた感謝のメッセージ。

企画・発案したのは、過疎に悩む君津市の「活性化」と「地方創生」を手がけるスマプラ株式会社の幕田範之さんです。幕田さんは「清和地区は人口減少・少子化が進んでいる。そんな中でも、これだけの活力があるんだぞ。という部分を見せていきたい。今回のイベントがそうした動きの最初のきっかけとなってほしい」と話します。

■少子化原因で統廃合された空き校舎を活用

実は今回のイベントで使用された校庭は去年3月、少子化が原因で他の学校へ統合され空き校舎になってしまった旧秋元小学校の校庭です。参加した小学生の中にはかつてこの学校に通っていた子供たちもいました。なぜ空き校舎の校庭を使用することになったのでしょうか。背景には清和地区が抱える深刻な問題とそれを打破しようとする思いがありました。

■人口減少が深刻な君津市清和地区

千葉・房総半島のほぼ中央に位置する君津市清和地区。人口2500人ほどの集落です。この3年の間に小中学校9校の廃校が相次ぐなど深刻な少子化・人口減少の問題に直面しています。

今回のイベントで使用した旧秋元小学校の生徒数も1959年は430人でしたがおよそ60年で40人まで減少したといいます。

君津市役所で清和地区の活性化・再整備などを担当する中村亮彦さんは「地区内での働き口が極めて少なく、若い人たちの多くが出て行ってしまう」と話します。その上で、子供が少なくなることで、地区の活力がなくなったり、イベントの運営の後継者がいなくなることなどが問題だといいます。

“このままでは清和地区がなくなってしまうー”そこで今年3月、君津市と地域住民、民間の会社などがタッグを組み、地区全体の活気を取り戻すための「地域準備会」という組織が発足しました。

■空き校舎は今後防災拠点にも

地域準備会は過去に災害が起きた際に旧秋元小学校が避難所などの災害拠点になったことがあることに注目し、校舎や校庭などを活用し、地域活性化につなげられないかと考えました。

活性化“第一弾”となった今回のキャンドルイベント。清和地区の住民として地域準備会に参加する岡崎美穂さんは「空き校舎を使って少しでも多くのイベントを行い、子供たちに思い出を作ってほしい。いずれ自分が子育てするときに清和に戻ってきてもらえるようなことをしていきたい」と話します。

地域準備会は今後も旧秋元小学校の校舎を利用して公民館や保育園などが入る複合施設を作ったり、災害時には避難所やお風呂を設置し防災拠点としての役割を果たせるようにしたりしていきたいとしています。