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【解説】“1日15分の上下運動”で「高血圧」に効果…研究チームが血圧改善のメカニズムを解明

2023年7月11日 21:08
【解説】“1日15分の上下運動”で「高血圧」に効果…研究チームが血圧改善のメカニズムを解明

年を重ねると気になるのが「高血圧」ですが、この、高血圧を改善する仕組みが解明されました。

高血圧の人は日本で約4000万人にのぼっています。これは、20歳以上の2人に1人にあたります。厚生労働省によると「もし高血圧が完全に予防できれば、年間10万人以上の人が死なずに済む」と推計されています。

高血圧というのは、上の血圧が140以上、または下が90以上のことをいいます。正常値は上が130未満、下が80未満です。

高血圧になる原因は、「食塩の摂り過ぎ」「肥満」「飲酒」「運動不足」です。高血圧が進んで動脈硬化になると「心筋梗塞」や「脳卒中」「認知症」などになりやすくなります。

今回、国立障害者リハビリテーションセンターなどの研究チームは、原因の1つ「運動不足」に注目し、適度な運動が血圧改善をもたらすメカニズムを発見しました。

そこで11日の知りたいポイントは――

◇脳に“上下”の刺激
◇1日15分でも効果

以上の2点を詳しくお伝えします。

■上下運動を1日30分、週3日を1か月…簡単な運動で血圧に改善傾向が

研究チームによると、高血圧のラット(ねずみ)を軽く走らせると、前足が地面に着地した時に頭に約1G(重さ、重力)の大きさの刺激が加わるといいます。この1Gというのは、人間が軽いジョギングをした時に頭部に伝わる刺激と同じぐらいだということです。

この運動により脳内の組織液が動き、血圧調整に関わる細胞が刺激され、血圧を上げるタンパク質が減ることによって血圧が下がることがわかったといいます。

研究チームは、これが人に対しても効果があると考えました。座面(椅子の腰を下ろす部分)が上下に動くことで1Gの刺激が人の頭部に加わるよう設計された椅子を開発して、20代から80代の高血圧の27人を対象に検証を行いました。

臨床試験では、被験者が座った椅子が上下にリズミカルな感じで動いていました。大きな動きではないですが、瓶を軽く上下に振るくらいの動きで頭に1Gの力が加わるそうです。

このように1日30分、週に3日、この椅子に座って頭部に刺激を加える臨床試験を約1か月間続けたところ、開始前の上の血圧の平均が「141.9」だったのが「132.9」に改善したということです。また、臨床試験の終了後も、約1か月間は効果が持続したということです。

このような刺激は、軽いジョギング程度の運動のほか、早歩きでも足が着地する時に加わるといいます。これまでは適度な運動が高血圧の予防や治療に有効であることはわかっていましたが、運動が高血圧を改善する仕組みはよくわかっていませんでした。今回の研究で、改善効果のメカニズムが発見されたということです。

■1日“15分”の上下運動で効果が…運動を日常生活に取り入れ健康に

では、こうした運動を日常生活にどうやって取り入れればよいかをみていきます。

研究に関わった国立障害者リハビリテーションセンターの臨床研究開発部・澤田泰宏部長に話を聞いたところ、足が地面についた時に脳に伝わる刺激が重要だといいます。これは、幅3センチの上下運動をすることで効果が望めるということです。具体的には「ジョギング」や「ウオーキング」「水泳」「水中歩行」に効果があるそうです。

わざわざ運動するのは難しいという人が、もっと日常的に行えることがあります。それは「自転車に乗る」ことや「階段を下る」ことです。「階段を下る」については、上るのが大変だったら上りはエレベーターなどを使ってもいいそうです。下りに階段を使うことが効果的だといいます。さらに「バランスボールに座って上下運動」も効果があるといいます。澤田部長によると「これらを10分から15分を目安に行うと効果が期待できる」ということです。また、澤田部長は「継続的にやるのも大事ですが、日頃からこれらのことを気をつけて断続的に行っても効果があるのでは」と述べていました。

今回の研究によって、澤田部長は「様々な病気を引き起こす高血圧を改善することで、病気の予防や治療につながっていけば」と話していました。また「運動できない人にも脳に刺激をもたらす『疑似運動』によって高血圧を改善する治療法が今後、開発できるかもしれない」と指摘していました。

   ◇

「高血圧は万病の元」とも言われますが、高血圧を改善することはその先に続くさまざまな疾患を予防することにもつながります。日常の中で取り入れていきましょう。

(2023年7月11日午後4時半ごろ放送 news every.「知りたいッ!」より)