精子、卵子“提供者”と“生まれた人”の結びつけ支援へ 新しい民間団体設立
不妊に悩むカップルが他人から精子や卵子の提供をうけて、妊娠、出産する実態がある中、提供された精子や卵子をもとに生まれた人と、過去に提供した人などを結びつける支援を行う新しい民間団体が設立されました。
この団体「ドナーリンク・ジャパン」は、産婦人科の医師や精子提供で生まれた人、研究者らが立ち上げたものです。
団体によりますと、日本では他人から精子の提供をうけて妊娠・出産する生殖医療が70年以上行われてきましたが、提供者は匿名のため、生まれた子どもが遺伝上の親について把握する仕組みはありません。
しかし、近年こうした人たちが提供者について知りたいと声を上げ始め、それに応えるため、団体の設立に至ったということです。
この団体は、精子や卵子の提供によって生まれた人たちが「遺伝情報」「出自」を知ることの重要性を啓発するとともに、同じ境遇の人たちで交流を持つほか、過去に精子や卵子を提供した人にも登録を呼びかけ、提供者と生まれた人を結びつけることも目的としているということです。
具体的には、生まれた側、提供側が任意で登録し、DNAマーカーリンク検査の結果や自身の血液型、身体的特徴、精子や卵子の提供年月日などをもとに、実際に血縁関係にある可能性の高い人を見つけ出し、マッチングする予定だということです。
団体には医師や弁護士のほか、臨床心理士や社会福祉士なども所属していて、マッチングの際のサポートや法的なアドバイスを行うということです。
こうした取り組みは海外で行われていますが、日本では初めてだということで、当面はAID(精子提供)によって誕生した人と、かつて精子提供を行った人を対象とするということですが、今後、卵子提供に関しても対象を広げていきたいとしています。